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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

アセトアミノフェンと心血管イベント(メモ)

【私的背景】

アセトアミノフェンと心血管疾患等について検討されている論文をまとめてメモ。

 

 

①「Nonsteroidal antiinflammatory drugs, acetaminophen, and the risk of cardiovascular events.」

PMID:16534006

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16534006

→米国の44~69歳の女性を対象としたコホート研究

 

【重大な心血管疾患イベント(非致死的な心筋梗塞、致死的な冠動脈疾患、非致死的または致死的な脳卒中)の発生】

〇NSAIDs

・1~4日/月の使用→調整相対リスク 0.95(95%信頼区間 0.79~1.14)

・5~14日/月の使用→調整相対リスク 1.00(95%信頼区間 0.81~1.22)

・15~21日/月の使用→調整相対リスク 0.91(95%信頼区間 0.67~1.23)

・≧22日/月の使用→調整相対リスク 1.44(95%信頼区間 1.27~1.65)

〇アセトアミノフェン

・1~4日/月の使用→調整相対リスク 0.98(95%信頼区間 0.84~1.14)

・5~14日/月の使用→調整相対リスク 1.09(95%信頼区間 0.91~1.30)

・15~21日/月の使用→調整相対リスク 1.22(95%信頼区間 0.95~1.56)

・≧22日/月の使用→調整リスク 1.35(95%信頼区間 1.14~1.59)

 

※NSAIDsおよびアセトアミノフェンの使用についてはメールによる質問票によって集計されており、信頼性には疑問が残る

 

 

②「Acetaminophen use and risk of myocardial infarction and stroke in a hypertensive cohort.」

PMID:25801870

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25801870

→英国の高血圧症と診断された65歳以上を対象とした後ろ向きコホート研究

 

【心筋梗塞の発生】

・アセトアミノフェンの使用→調整ハザード比 0.98(95%信頼区間 0.76~1.27)

 

※二次アウトカム

【脳卒中の発生】

・アセトアミノフェンの使用→調整ハザード比 1.09(95%信頼区間 0.86~1.38)

【心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、TIA、冠動脈バイパス術、頸動脈内膜剥離術、重大な下肢切断、外科的塞栓除去術)の発生】

・アセトアミノフェンの使用→調整ハザード比 1.17(95%信頼区間 0.99~1.34)

 

 

③「Risk of Acute Cerebrovascular and Cardiovascular Events Among Users of Acetaminophen or an Acetaminophen-Codeine Combination in a Cohort of Patients with Osteoarthritis: A Nested Case-Control Study.」

PMID:26497476

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26497476

※抄録のみ

→骨粗鬆症と診断され、NSAIDsが処方された成人を対象としたコホート内症例対照研究

 

【脳血管または心血管イベントの発生】

・Current(発生日より0~90日前のアセトアミノフェンの使用)→オッズ比 1.22(95%信頼区間 0.96~1.55)

・Recent(91~180日前のアセトアミノフェンの使用)→オッズ比 1.12(95%信頼区間 0.80~1.55)

・Past(181~365日前のアセトアミノフェンの使用)→オッズ比 1.13(95%信頼区間 0.86~1.48)

 

 

④「Paracetamol, Ibuprofen, and Recurrent Major Cardiovascular and Major Bleeding Events in 19 120 Patients With Recent Ischemic Stroke.」

PMID:26979864

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26979864

→虚血性脳卒中または一過性虚血発作の既往がありテルトロバンまたはアスピリンが使用されている患者を対象としたコホート内症例対照研究

 

【重大な心血管イベント(死亡、心筋梗塞、脳卒中)の発生】

・アセトアミノフェンの使用→調整オッズ比 1.21(95%信頼区間 1.04~1.42)P=0.02

・イブプロフェンの使用→調整オッズ比 1.03(95%信頼区間 0.79~1.35)P=0.81

【大出血】

・アセトアミノフェンの使用→調整オッズ比 1.60(95%信頼区間 1.26~2.03)P<0.0001

・イブプロフェンの使用→調整オッズ比 1.34(95%信頼区間 0.88~2.02)P=0.17

 

※交絡因子の調整については十分ではなく、対象も限定されている点には注意。

 

 

⑤「Concomitant use of ibuprofen and paracetamol and the risk of major clinical safety outcomes.」

PMID:20716244

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20716244

→英国における、イブプロフェンまたはアセトアミノフェンが処方された18歳以上の患者(1.2万人)が対象の後ろ向きコホート研究。

 

※全て、現在の処方(current) vs 過去の処方(past)

【上部消化管出血】

・イブプロフェン→相対リスク 1.18(95%信頼区間 1.13~1.24)

・アセトアミノフェン→相対リスク 1.36(95%信頼区間 1.31~1.41)

・イブプロフェン+アセトアミノフェン→相対リスク 1.70(95%信頼区間 1.32~2.19)

【心筋梗塞】

・イブプロフェン→相対リスク 1.09(95%信頼区間 1.04~1.14)

・アセトアミノフェン→相対リスク 1.14(95%信頼区間 1.10~1.19)

・イブプロフェン+アセトアミノフェン→相対リスク 1.12(95%信頼区間 0.86~1.46)

【脳卒中】

・イブプロフェン→相対リスク 1.11(95%信頼区間 1.06~1.16)

・アセトアミノフェン→相対リスク 1.14(95%信頼区間 1.10~1.18)

・イブプロフェン+アセトアミノフェン→相対リスク 1.30(95%信頼区間 1.01~1.66)

【心不全】

・イブプロフェン→相対リスク 1.08(95%信頼区間 1.03~1.12)

・アセトアミノフェン→相対リスク 1.19(95%信頼区間 1.16~1.23)

・イブプロフェン+アセトアミノフェン→相対リスク 1.05(95%信頼区間 0.84~1.32)

【腎不全】

・イブプロフェン→相対リスク 1.09(95%信頼区間 1.00~1.18)

・アセトアミノフェン→相対リスク 1.20(95%信頼区間 1.14~1.27)

・イブプロフェン+アセトアミノフェン→相対リスク 1.04(95%信頼区間 0.67~1.60)

【自殺行動】

・イブプロフェン→相対リスク 1.40(95%信頼区間 1.32~1.49)

・アセトアミノフェン→相対リスク 1.40(95%信頼区間 1.29~1.52)

・イブプロフェン+アセトアミノフェン→相対リスク 1.50(95%信頼区間 0.98~2.31)

【過量服用】

・イブプロフェン→相対リスク 1.52(95%信頼区間 1.43~1.62)

・アセトアミノフェン→相対リスク 1.42(95%信頼区間 1.32~1.53)

・イブプロフェン+アセトアミノフェン→相対リスク 1.33(95%信頼区間 0.90~1.96)

【死亡】

・イブプロフェン→相対リスク 1.12(95%信頼区間 1.10~1.15)

・アセトアミノフェン→相対リスク 1.28(95%信頼区間 1.26~1.30)

・イブプロフェン+アセトアミノフェン→相対リスク 1.50(95%信頼区間 1.34~1.68)

 

※交絡因子の調整は十分に行われていないため注意が必要。

 

 

NSAIDsと比較すると比較的安全な印象のあるアセトアミノフェンであるが、心血管リスクの増加については両者であまり差がないのかもしれない。

海外と日本ではアセトアミノフェンの用量に差があるため、日本で通常使われる用量ではリスクについては不明だが、脳梗塞や一過性脳虚血発作の既往があり抗血小板薬が使用されているような患者では特に注意が必要であり、当然ながら長期的な漫然投与等は控えるべきである。