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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

フレイルの高齢者に対してオセルタミビルの長期使用はインフルエンザ予防に効果がありますか?

【私的背景】

前回は高齢者介護施設内でインフルエンザが発生した際のオセルタミビルによる予防使用の効果が検討されているランダム化比較試験の論文を取り上げたが、今回はインフルエンザ流行期のオセルタミビル長期使用による予防効果が検討されているランダム化比較試験の論文を読んでみたいと思う。

 

「Long-term use of oseltamivir for the prophylaxis of influenza in a vaccinated frail older population.」

PMID:11555062

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11555062

 

PECO

: 65歳以上で高齢者施設に入居しているフレイルの高齢者(米国及び欧州31施設、548人、平均年齢:81歳、予防接種:>80%、COPD:14%、併存疾患:平均6.1疾患、併用薬:平均7.7剤)

: 地域でインフルエンザが発生したら予防としてオセルタミビル75mg×1/日を6週間投与(276人)

: プラセボを6週間投与(272人)

: 検査が陽性である臨床上のインフルエンザ発症(体温≧37.2℃、呼吸器症状、全身症状)

※除外基準→腎臓疾患、肝機能異常、心不全、角膜以外の移植、癌、HIV感染、臨床に関連したアルコール又は薬剤の乱用歴がある

 

チェック項目

・研究デザイン : ランダム化比較試験

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 明確

・ランダム化されているか? : 層別ランダム化が行われている

・盲検化されているか? : 二重盲検が行われている

・ITT解析されているか? : されている

・追跡率 : 90%

・サンプルサイズ : 各群250例(検出力89%)

・患者背景 : 特に気になるような偏りは見られない

 

結果

【インフルエンザの発症】

・全体 : E群(0.4%) vs C群(4.4%)→相対リスク減少 92%(P=0.002)、NNT=25

・予防接種を受けた者のみ : E群(0.5%) vs C群(5.0%)→相対リスク減少 91%(P=0.003)、NNT=23

 

※二次アウトカム

【インフルエンザの合併症】

・E群(0.4%) vs C群(2.6%)→相対リスク減少 86%(P=0.037)、NNT=46

【有害事象】

・各群とも同程度

 

感想

施設に入居しているフレイルの高齢者へ予防として長期間オセルタミビルを使用することによりインフルエンザの発症を92%減少させ、忍容性も良好であるという結果になっております。

92%減少というのはなかなかインパクトのある数字ではありますが、そもそもプラセボ群でもインフルエンザの発症が見られたのは4.4%と多くはなく、有害事象についてはこのランダム化比較試験のみでは判断しかねるため、インフルエンザ流行期の虚弱高齢者に対するオセルタミビルの積極的な予防使用が推奨されるというものではない印象です。

あくまでも施設に入居している高齢者が対象であるため、インフルエンザ予防への対策に更にばらつきがあると思われる自宅で生活している虚弱高齢者に対する予防効果については不明でありますが、これまでに取り上げた論文を含めて考えると、インフルエンザ予防に対する必要な対策を取った上で、施設内または家庭内でインフルエンザが発生した場合のみにオセルタミビルの予防使用を考慮し、予防使用をしている際も過信せずにインフルエンザ患者との接触は極力避けるというのが妥当なところかなと思います。

 

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