α遮断薬は尿管結石の排出を促進する効果がありますか?
「Alpha blockers for treatment of ureteric stones: systematic review and meta-analysis.」
PMID:27908918
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27908918
PECO
P : 55のランダム化比較試験に参加した尿管結石のある患者
E : α遮断薬の使用(平均年齢40.7±6.9歳、平均の結石の大きさ5.7±1.2mm)
C : プラセボまたはその他のコントロール(平均年齢40.4±6.1歳、平均の結石の大きさ5.7±1.1mm.)
O : 結石が通過した患者の割合
チェック項目
・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・評価者バイアス : 2人が独立して検索・評価を行っている。食い違いがある場合には合意が形成され、必要に応じて第三者が介入している。
・出版バイアス : 英語の文献以外も探している。複数報告の研究は排除されている。ファンネルプロットを用いて検討されているが非対称である。
・元論文バイアス : 全てランダム化比較試験。GRADEアプローチを用いた評価では「Moderate」とされている。
・異質性バイアス : フォレストプロットの方向性は概ね一致しているように見える。
・追跡期間 : 7~42日間。28日間が最も多い。
・使用されたα遮断薬 : タムスロシン(40試験)、アルフゾシン(6試験)、ドキサゾシン(4試験)、ナフトピジル(3試験)、シロドシン(6試験)、テラゾシン(4試験)
結果
・結石の通過→リスク比1.49(95%信頼区間1.39~1.61) 異質性:I2=60.2%
※二次アウトカム
・通過までの時間→平均差-3.79日(95%信頼区間-4.45日~-3.14日) 異質性:I2=74.1%
・痛みエピソードの回数→平均差-0.74回(95%信頼区間-1.28回~-0.21回) 異質性:I2=94%
・入院→リスク比0.37(95%信頼区間0.22~0.64) 異質性:I2=39.1%
・深刻な有害事象→リスク比1.49(95%信頼区間0.24~9.35) 異質性:I2=0%
感想
以前取り上げたランダム化比較試験ではタムスロシンの使用による尿管結石排出への効果は見られておりませんでしたが、今回のシステマティックレビュー&メタ解析では尿管平滑筋を弛緩させるα遮断薬の使用が尿管結石排出を促進させることが示唆されております。
ただし、異質性が割と高く、ファンネルプロットの偏りも非常に大きいためかなり割り引いて考える必要があるように思います。
個人的にはあまり大きな期待はできないような印象ではありますが、疝痛発作の経験談を考慮して自分が患者だった場合を想像すると、少しでも効果が期待できるものであれば使用したいと願うかなーと思いました。
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