【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ダイエットソーダと末期腎不全/慢性腰痛患者へのプラセボ投与/ドキサゾシンと心血管イベント

今回は抄録しか読めないけど気になった論文を。

 

①「Diet Soda Consumption and Risk of Incident End Stage Renal Disease.」

PMID:27797893

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27797893

 

【PECO】

: 平均年齢54歳、女性55%、黒人27%(米国)

: ダイエットソーダを週に1~4杯・5~7杯・8杯以上飲む

: 週1杯未満飲む

: 末期腎不全

 

【チェック項目】

・研究デザイン : コホート研究

・交絡因子の調整は? : 年齢・性別・人種・教育レベル・喫煙歴・身体活動・総カロリー摂取・eGFR・BMI・糖尿病・収縮期血圧・血清尿酸値について調整されている

・追跡期間中央値 : 23年

 

【結果】

・1~4杯/週→1.08倍(95%信頼区間0.75~1.55)

・5~7杯/週→1.33倍(95%信頼区間1.01~1.75)

・7杯以上→1.83倍(95%信頼区間1.01~2.52)

・過体重または肥満がある群のみで有意な差があった。

・加糖甘味料の摂取と末期腎不全では関連が見られかった。

 

【感想】

ダイエット飲料の週5杯以上の摂取が末期腎不全リスクの上昇と関連することが示唆されておりますが、因果関係については不明であり、まあやはり食事や体重について不安がありかつそれでも甘い物を飲みたい人がダイエット飲料をよく飲むと思われるためダイエット飲料をよく飲む人は食事全体の見直しが必要なのだろうなあと思います。

「黒烏龍茶」みたいなものでも同じような研究があったら面白いかもしれませんね。

まあ個人的にはダイエットコーラを飲むくらいなら普通のコーラを飲みたいと思います。

 

②「Open-label placebo treatment in chronic low back pain: a randomized controlled trial.」

PMID:27755279

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27755279

 

【PECO】

: 慢性腰痛の患者(93人)

: 標準治療+プラセボ

: 標準治療

: 0~10点のNumeric Rating Scaleを用いた痛みの最大値・最小値・通常値・総合値の評価、Roland-Morris Disability Questionnaireを用いて評価した腰関連機能障害

 

【チェック項目】

・研究デザイン : ランダム化比較試験

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 明確

・盲検化されているか? : オープンラベル

・追跡期間 : 3週間

 

【結果】

・E群ではNumerical Rating Scaleを用いた評価による痛みが減少した(P<0.001)

E群→1.5点減少(95%信頼区間1.0~2.0)

C群→0.2点減少(95%信頼区間-0.3~0.8)

・E群はC群と比較して機能障害も減少した(P<0.001)

E群→2.9点改善(95%信頼区間1.7~4.0)

C群→0.0点改善(95%信頼区間-1.1~1.2)

・標準治療群を標準治療+プラセボに切り替えた後、痛みの減少及び機能障害の改善が見られた[1.5点減少(95%信頼区間0.8~2.3)][3.4点改善(95%信頼区間2.2~4.5)]

 

【感想】

プラセボだとわかっていても慢性腰痛患者の痛みや機能障害を改善させる効果があるということが示唆されている非常に興味深い報告です。

プラセボ効果と言ってもただ単にプラセボを渡されて飲むだけではなく、医療者と患者の関係性なども非常に重要ではないかなと思いますが、私が介入群だったらちょっと気を使って介入前よりも良い結果を示してしまいそうな気もします。

投薬時の話し方によって薬効や副作用の発現に差が生じる可能性がある点にはやはり気を付けなければいけないなと改めて思いました。

 

③「Doxazosin to treat hypertension: it's time to take it personally--a retrospective analysis of 19, 495 patients.」

PMID:24509125

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24509125

 

【PECO】

: 高血圧症の患者(19495人、平均年齢65±11.1歳、男性55%)

: 前立腺肥大に対してα遮断薬が使用されている(BPH,、1164人)、高血圧症に対してドキサゾシンが使用されている(HTN、1258人)

: α遮断薬の使用以外で治療が行われている(17053人)

: 心血管イベント(心血管死亡・心筋梗塞)

 

【チェック項目】

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究

・平均追跡期間 : 79.2±37.3ヶ月

 

【結果】

・HNT群で最も心血管イベントの発生率が高かった(HNT群14.1% vs BPH群11.3% vs C群8.9% P<0.001)

・HTN群では中等度~重度の血流欠損を有する患者のみで心血管イベントの増加が見られた[ハザード比1.50(95%信頼区間1.14~1.98)]

 

【感想】

降圧治療にドキサゾシンが使用されることは少なくない印象ですが、虚血性心疾患の既往がある患者などではその使用は警戒すべきであると考えます。

α遮断薬と心血管イベントについてはまた改めて調べてみたいと思います。

 

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