【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

リバーロキサバン・アピキサバンはワルファリンと比較して虚血性脳卒中または頭蓋内出血の発生に差がありますか?

 

「Real-world evidence of stroke prevention in patients with nonvalvular atrial fibrillation in the United States: the REVISIT-US study.」

PMID:27633045

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27633045

 

PECO

: 18歳以上でCHA2DS2-VAScスコアが2点以上である非弁膜性心房細動の患者(米国)

: リバーロキサバン(11411人)またはアピキサバン(4083人)の新規使用

: ワルファリンの新規使用(1:1でマッチング)

: 虚血性脳卒中または頭蓋内出血の複合エンドポイント

 

チェック項目

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : 民間の保険請求データが用いられており、大きな問題はないと思われる

・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている(年齢、性別、地域、医療制度、CHADS2、CHA2DS2-VASc、修正HAS-BLED、併存疾患スコア、心不全、高血圧症、糖尿病、不安定狭心症、腎不全、抗不整脈薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、抗血小板薬、NSAIDs、入院日数、医院を訪れた回数などでマッチング)

 

結果

【リバーロキサバン】

E群(0.95%/年) vs C群(1.60%/年)→ハザード比0.61(95%信頼区間0.45~0.82)、NNT=154人/年

※複合アウトカムの各要素

・頭蓋内出血

E群(0.49%/年) vs C群(0.96%/年)→ハザード比0.53(95%信頼区間0.35~0.79)

・虚血性脳卒中

E群(0.54%/年) vs C群(0.83%/年)→ハザード比0.71(95%信頼区間0.47~1.07)

 

【アピキサバン】

E群(0.89%/年) vs C群(1.44%/年)→ハザード比0.63(95%信頼区間0.35~1.12)、NNT=182人/年

※複合アウトカムの各要素

・頭蓋内出血

E群(0.38%/年) vs C群(0.97%/年)→ハザード比0.38(95%信頼区間0.17~0.88)

・虚血性脳卒中

E群(0.56%/年) vs C群(0.51%/年)→ハザード比1.13(95%信頼区間0.49~2.63)

 

感想

有効性としての虚血性脳卒中の予防と副作用としての出血の発生はトレードオフの関係にあるようにも思いますが、両者を複合してアウトカムとするのはなんだか違和感を感じてしまいます。

一次アウトカムではありませんが、NOACではワルファリンと比較すると頭蓋内出血リスクが低いことが示唆されておりやはり出血リスクの点ではNOACが有利なのかなという印象です。

ただ、TTRの記載はないためワルファリンの管理についても知りたいところではあります。

 

それにしても最近この手の「リアルワールド」な報告が量産されておりますね。時間があれば年末までに一度まとめてみたいと思います。