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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

アピキサバンはワルファリンと比較すると非大出血リスクも低いですか?

Non-major bleeding with apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation」

Heart doi:10.1136/heartjnl-2016-309901

http://heart.bmj.com/content/early/2016/10/24/heartjnl-2016-309901.long

 

PECO

P : ARISTOTLE試験に参加した、心房細動/粗動を有し脳卒中の危険因子のうち一つ以上を有する患者(18140人)
E : アピキサバン5mgを1日2回投与(80歳以上・60kg未満・血清クレアチニン値1.5mg/dL以上のうち二つ以上に該当する場合は2.5mgを1日2回投与)(9082人)
C : ワルファリンをINR2.0~3.0となるよう調整して投与(9052人)
O : 非大出血または小出血

 

チェック項目

・研究デザイン : ランダム化比較試験(ARISTOTLE試験)のサブ解析

 

※ARISTOTLE試験についてはこちら

 

・真のアウトカムか? : 真のアウトカムであると考える

・交絡因子の調整は? : 心房細動のタイプ、年齢、性別、地域、心筋梗塞の既往、うっ血性心不全、脳卒中、一過性虚血発作、全身性塞栓症、糖尿病、心房細動の期間、高血圧症、出血の既往、VK拮抗薬の使用、CHADS2スコア、血管疾患の既往、クレアチニンクリアランス、ACE阻害薬、ARB、アミオダロンについて調整されている

 

結果

【非大出血】

アピキサバン群(6.4/100人年)  vs ワルファリン群(9.4/100人年)→ハザード比0.69(95%信頼区間0.63~0.75)

 

・非大出血(血尿16.4%、鼻出血14.8%、消化管出血13.3%、血種11.5%、挫傷/斑状出血10.1%)は大出血よりも3倍多かった[非大出血12.1% vs 大出血3.8%]

・薬剤または外科的な介入については同等だった[アピキサバン群24.5% vs ワルファリン群24.7%]

・抗凝固薬の変更はワルファリン群で有意に多かった[アピキサバン群50.0% vs ワルファリン群58.6% P<0.0001]

・薬剤の中止はワルファリン群が多かった(有意差は見られていない)[アピキサバン群3.6% vs ワルファリン群5.1% P=0.10]

・非大出血は死亡リスク増加との関連が見られた[ハザード比1.70(95%信頼区間1.32~2.18)]

・非大出血はその後に続く大出血リスク増加との関連が見られた[ハザード比2.18(95%信頼区間1.56~3.04)]

・非出血発生後に抗凝固薬を中止した群では継続した群よりも30日以内の死亡リスクの増加が見られた[中止群(10.2%) vs 継続群(4.9%)→ハザード比2.1(95%信頼区間1.4~3.1)]

 

結果

これまでアピキサバンはワルファリンと比較すると大出血についてはリスクが低いことが示唆されてきましたが、非大出血についてもリスクが低いことが示唆されている貴重な研究です。

ただし、ランダム化比較試験のサブ解析であり、抗血小板薬等の交絡因子の調整についても十分行われていない印象である点に注意が必要ではあります。

 

非大出血の発症はその後の大出血リスクや死亡リスクを増加させることが示唆されておりますが、抗凝固薬の中止も死亡リスク増加との関連が示唆されており、実際に非大出血が発生した際の対応はなかなか難しいところであるように感じます。

抗凝固薬の用量調節や出血リスクを増加させる併用薬の見直し等が現実的なところでしょうか。このテーマについてもまた改めて追っていきたいと思います。