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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ベンゾジアゼピン系薬は認知症発症リスクを増加させますか?

①「Regular Benzodiazepine and Z-Substance Use and Risk of Dementia: An Analysis of German Claims Data.」

PMID:27567804

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27567804

※抄録のみ

 

【PECO】

: ベースライン時に認知症のなかった60歳以上の高齢者(ドイツ)

: ベンゾジアゼピン系薬またはZ薬の使用あり

: 使用なし

: 認知症の診断

 

【チェック項目】

・研究デザイン : 症例対照研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : ドイツの健康保険データが用いられており、大きな問題はないと思われる

 

【結果】

・ベンゾジアゼピン系薬およびZ薬の常用は認知症発症リスク増加と関連[調整オッズ比1.21(95%信頼区間1.13~1.29)]

・短時間型のものと比較して長時間型のものではより強い関連が見られた

 

 

②「Benzodiazepine Use and Risk of Developing Alzheimer's Disease or Vascular Dementia: A Case-Control Analysis.」

PMID:26123874

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26123874

※抄録のみ

 

【PECO】

: [症例]新規にアルツハイマー型認知症または血管性認知症と診断された65歳以上の患者(英国、26459人)

[対照]年齢、性別、暦年、一般診療等でマッチング

: ベンゾジアゼピン系薬の使用あり

: 使用なし

: アルツハイマー型認知症または血管性認知症の発症

 

【チェック項目】

・研究デザイン : 症例対照研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : 臨床診療研究データリンクのデータが用いられており、大きな問題はないと思われる

 

【結果】

・アルツハイマー型認知症と診断される前の1年以内のベンゾジアゼピン系薬の開始はリスク上昇との関連が見られた[調整オッズ比2.20(95%信頼区間1.91~2.53)]

・アルツハイマー型認知症と診断される前2~3年以内の開始では関連が見られなかった[調整オッズ比0.99(95%信頼区間0.84~1.17)]

・血管性認知症と診断される前の1年以内のベンゾジアゼピン系薬の開始はリスク上昇との関連が見られた[調整オッズ比3.30(95%信頼区間2.78~3.92)]

・血管性認知症と診断される前2~3年以内の開始では関連が見られなかった[調整オッズ比1.16(95%信頼区間0.96~1.40)]

・ベンゾジアゼピン系薬の長期間の使用ではアルツハイマー型認知症・血管性認知症のリスク増加との関連は見られかなった[調整オッズ比0.69(95%信頼区間0.57~0.85)][調整オッズ比1.11(95%信頼区間0.85~1.45)]

 

感想

①ではベンゾジアゼピン系薬またはZ薬の使用と認知症との関連が示唆されているものの、因果関係については不明であり「認知症の前駆症状にベンゾジアゼピン系薬が処方されていた」などの可能性も考えられるためこれらの薬剤が認知症発症のリスクを増加させるとは結論できませんが、②を見ると長期間の使用では関連が見られずやはり高齢者においてベンゾジアゼピン系薬が認知症発症リスクを増加させるとは明確には言えない結果であると考えます。

 

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