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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

NOAC同士で有効性や出血リスクに差はありますか?

今回は抄録までしか読めませんが、NOACに関する論文を2つほど。

 

①「Stroke, Bleeding, and Mortality Risks in Elderly Medicare Beneficiaries Treated With Dabigatran or Rivaroxaban for Nonvalvular Atrial Fibrillation.」

PMID:27695821

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27695821

 

【PECO】

: 65歳以上の非弁膜性心房細動患者(米国、118891人)

: リバーロキサバン20mg1日1回を開始(66651人)

: ダビガトラン150mg1日2回を開始(52240人)

: 血栓塞栓性脳卒中、頭蓋内出血、消化管出血を含む重大な頭蓋外出血、死亡

 

【チェック項目】

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : メディケア受給者が対象となっており、大きな問題はないと思われる

・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている

 

【結果】

・血栓塞栓性脳卒中→ハザード比0.81(95%信頼区間0.65~1.01)P=0.07

・頭蓋内出血→ハザード比1.65(95%信頼区間1.20~2.26)P=0.002

・重大な頭蓋外出血→ハザード比1.48(95%信頼区間1.32~1.67)P<0.001

・重大な消化管出血→ハザード比1.40(95%信頼区間1.23~1.59)P<0.001

・死亡→ハザード比1.15(95%信頼区間1.00~1.32)P=0.051

CHADS2スコアが3点以上または75歳以上の患者ではリバーロキサバン群はダビガトラン群と比較して有意な死亡の増加が見られた

 

【コメント】

脳梗塞に関してはリバーロキサバン群ではダビガトラン群と比較してリスク減少傾向にあるものの有意な差は見られず、出血に関してはリスクが増加することが示唆されている。

死亡に関してもリスク増加傾向にある点は注目すべきだが、リバーロキサバンは日本で使われている用量(15mgまたは10mg)よりも高用量である点については注意が必要。

 

 

②「Direct comparison of dabigatran, rivaroxaban, and apixaban for effectiveness and safety in non-valvular atrial fibrillation」

Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.07.013

http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2565769

 

【PECO】

: 非弁膜性心房細動患者(米国)

: リバーロキサバン(31574人)、アピキサバン(13084人)

: ダビガトラン(13130人)

: 脳卒中または全身性塞栓症、重大な出血

 

【チェック項目】

・研究デザイン : コホート研究

・対象集団の代表性は? : 大規模な保険データが使用されており、大きな問題はないと思われる

・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている

 

【結果】

・脳卒中または全身性塞栓症

リバーロキサバン vs ダビガトラン→ハザード比1.00(95%信頼区間0.75~1.32)

アピキサバン vs ダビガトラン→ハザード比0.82(95%信頼区間0.51~1.31)

アピキサバン vs リバーロキサバン→ハザード比1.05(95%信頼区間0.64~1.72)

・重大な出血

リバーロキサバン vs ダビガトラン→ハザード比1.30(95%信頼区間1.10~1.53)P<0.01

アピキサバン vs ダビガトラン→ハザード比0.50(95%信頼区間0.36~0.70)P<0.001

アピキサバン vs リバーロキサバン→ハザード比0.39(95%信頼区間0.28~0.54)P<0.001

・頭蓋内出血

リバーロキサバン vs ダビガトラン→ハザード比1.79(95%信頼区間1.12~2.86)P<0.05

 

【コメント】

こちらでもリバーロキサバンの用量の多くは20mgであると思われる点に注意。

 

感想

続々とNOAC同士での比較が検討されている研究が出てきましたね。

これまでの知見もふまえるとNOAC同士では脳梗塞・全身性塞栓症に対する有効性には大きな差はないものの、出血については一貫してアピキサバンが他のNOACと比較してリスクが低い印象です。

リバーロキサバンはやや不利な状況になってきましたが、アジア人を対象とした後ろ向きコホート研究では主に15mgが使われている状況でダビガトランとの比較において種々の出血について有意な差は見られておらず、日本においても今回取り上げた研究よりも出血リスクは低い可能性はあります。ただやはり出血リスクは増加傾向にある点が気になるところではあります。

 

現時点ではやはりアピキサバンに軍配が上がるといったところかと思いますが、エドキサバンについての研究も今後期待したいところです。

 

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