読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

高齢者へのNSAIDsの使用は心不全による入院のリスクと関連しますか?

今回は引き続きNSAIDsの使用と心不全について検討されている研究をいくつか読んでみたいと思います。

 

以前の記事はこちら。

 

 

①「Use of non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of incident myocardial infarction and heart failure, and all-cause mortality in the Australian veteran community.」

PMID:20565461

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20565461

→オーストラリアの退役軍人を対照としたコホート内症例対照研究(症例:83263人、対照:1662099人)。一般化はできない可能性がある点に注意。

 

【全てのNSAIDsの使用】

・心筋梗塞→調整オッズ比1.00(95%信頼区間0.96~1.04)

・末梢動脈疾患→調整オッズ比0.99(95%信頼区間0.86~1.16)

・心不全→調整オッズ比0.95(95%信頼区間0.92~0.98)

・不整脈→調整オッズ比0.95(95%信頼区間0.89~1.02)

・心停止→調整オッズ比0.87(95%信頼区間0.78~0.97)

・総死亡→調整オッズ比0.87(95%信頼区間0.85~0.90)

 

【COX-2阻害薬の使用】

・心筋梗塞→調整オッズ比1.02(95%信頼区間0.97~1.06)

・末梢動脈疾患→調整オッズ比0.89(95%信頼区間0.76~1.05)

・心不全→調整オッズ比0.96(95%信頼区間0.93~0.99)

・不整脈→調整オッズ比0.97(95%信頼区間0.90~1.05)

・心停止→調整オッズ比0.90(95%信頼区間0.81~1.01)

・総死亡→調整オッズ比0.90(95%信頼区間0.88~0.93)

 

 

②「Selective COX-2 inhibitors, NSAIDs and congestive heart failure: differences between new and recurrent cases.」

PMID:18384446

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18384446

→オーストラリアの病院ベース(2病院)の症例対照研究(症例:530人、対照:1054人)。一般化できない可能性があるため注意。

 

【うっ血性心不全による入院】

・NSAIDsの使用→調整オッズ比1.11(95%信頼区間0.67~1.83)

・セレコキシブの使用→調整オッズ比1.47(95%信頼区間0.86~2.53)

・ロフェコキシブの使用→調整オッズ比1.29(95%信頼区間0.78~2.13)

 

 

③「Non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of first hospital admission for heart failure in the general population.」

PMID:16717069

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16717069

→英国での60~84歳を対象としたコホート内症例対照研究(症例:1396人、対照:5000人)。

 

【心不全による入院】

・NSAIDsの使用(current)→調整相対リスク1.32(95%信頼区間1.06~1.64)

・ナプロキセン→調整相対リスク2.01(95%信頼区間1.08~3.74)

・イブプロフェン→調整相対リスク1.43(95%信頼区間1.01~2.02)

※その他のNSAIDsでは有意な差は見られていない

 

 

④「Cyclo-oxygenase-2 inhibitors versus non-selective non-steroidal anti-inflammatory drugs and congestive heart failure outcomes in elderly patients: a population-based cohort study.」

PMID:15172772

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15172772

※抄録のみ

→66歳以上を対象とした人口ベースの後ろ向きコホート研究(138882人)

 

【うっ血性心不全による入院】

・非選択的NSAIDsの使用→調整率比1.8(95%信頼区間1.5~2.2)

・ロフェコキシブの使用→調整率比1.4(95%信頼区間1.0~1.9)

・セレコキシブの使用→調整率比1.0(95%信頼区間0.8~1.3)

・非選択的NSAIDs vs セレコキシブ→調整率比1.4(95%信頼区間1.0~1.9)

・ロフェコキシブ vs セレコキシブ→調整率比1.8(95%信頼区間1.4~2.4)

・ロフェコキシブ vs 非選択的NSAIDs→調整率比1.5(95%信頼区間1.1~2.1)

 

 

⑤「Association of outpatient utilisation of non-steroidal anti-inflammatory drugs and hospitalised heart failure in the entire Swedish population.」

PMID:11372596

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11372596

※抄録のみ

→スウェーデンの観察研究(コホート研究?)

 

【心不全による入院】

・NSAIDsの使用(5.8DDD/1000人/日)→調整相対リスク1.23(95%信頼区間1.18~1.27)

・アセトアミノフェンの使用→調整相対リスク0.95(95%信頼区間0.92~0.98)

 

 

感想

心不全の発症リスク減少を示唆する研究や入院との関連は見られない研究、または心不全による入院リスク増加を示唆する研究と様々ありますが、60歳以上の高齢者を対象とした研究に限って言えば心不全による入院のリスク増加が見られているためやはり高齢者へのNSAIDsの使用は十分に警戒すべきであると思います(勿論その他のリスクもありますが)。

やはり月並みは言い方ではありますが漫然投与は避けたいところ。

 

 

他のNSAIDsと比較してリスクが低いことが示唆されているセレコキシブが気になるところではありますが、高齢者へのセレコキシブ使用によるその他のリスクについても今後調べてみたいと思います。