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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

吸入抗コリン薬は急性尿閉と関連しますか?

 

「Inhaled anticholinergic drugs and risk of acute urinary retention.」

PMID:20880196

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20880196

 

PECO

: 45歳以上のCOPD患者(オランダ、16373人)

【症例】急性尿閉と診断された患者(209人、平均年齢77.2歳、男性85.2%)

【対照】年齢・性別・登録日でマッチングした患者(16164人、平均年齢73.9歳、男性86.1%)

: 吸入抗コリン薬の使用あり

: 使用なし

: 急性尿閉

 

チェック項目

・研究デザイン : ネステッドケースコントロール研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : プライマリケアのデータベースが使用されており、大きな問題はないと思われる

・暴露の定義は? : 処方データベースが用いられており、最後に処方されたのが<30日前である場合に「current」、≧30~<180日前である場合は「recent past」、≧180日前である場合は「distant past」と定義されている

・交絡因子の調整は? : 抗ヒスタミン薬・抗精神病薬・三環系抗うつ薬・麻薬性鎮痛薬・ベンゾジアゼピン系薬・利尿薬・吸入β2刺激薬・吸入ステロイド・キサンチン系薬・経口ステロイド・前立腺肥大症の治療歴・前立腺癌・尿失禁・糖尿病・心不全・心筋梗塞・癌・脳卒中・尿路感染症歴・便秘・不動

 

結果

・Current use→調整オッズ比1.40(95%信頼区間0.99~1.98)

・Recent past use→調整オッズ比1.15(95%信頼区間0.70~1.91)

・Distant past use→調整オッズ比0.95(95%信頼区間0.62~1.48)

・チトロピウム→調整オッズ比1.55(95%信頼区間0.80~3.00)

・イプラトロピウム→調整オッズ比1.37(95%信頼区間0.96~1.98)

・吸入抗コリン薬を開始して2週間未満→調整オッズ比3.11(95%信頼区間1.21~7.98)

・2週間以上→調整オッズ比1.33(95%信頼区間0.94~1.90)

 

感想

吸入抗コリン薬の使用により急性尿閉のリスクは増加する傾向にあるものの有意な差は見られていません。ただし、開始直後では関連が示唆されている点には注意が必要です。

また、前立腺肥大症がある場合や他の吸入薬または抗コリン作用のある薬剤と併用している場合にリスク増加との関連が示唆されています。

 

抄録しか読めませんがカナダのネステッドケースコントロール研究(PMID:21606096 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21606096 )では、男性では吸入抗コリン薬の使用と急性尿閉との関連が示唆されており、それを加味すると排尿障害のある患者や抗コリン作用のある薬剤を使用している患者では単剤で使用される場合はLABAが選択されるのがベターかなと思います。(そもそも当然ながら排尿障害のある患者ではLAMAは禁忌ですが。)

 

ただやはり単剤ではコントロールが難しくLABA+LAMAの併用が必要な場合もあるかとは思いますがそのような場合には他の併用薬の見直しなども必要ではないかと思います。