【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

最も出血リスクが少ない抗凝固薬は何ですか?

「Real-world comparison of major bleeding risk among non-valvular atrial fibrillation patients initiated on apixaban, dabigatran, rivaroxaban, or warfarin. A propensity score matched analysis.」

PMID:27538358

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27538358

 

PECO

: 抗凝固薬が開始された18歳以上の心房細動患者(45361人、米国)

: NOAC(アピキサバン7438人、ダビガトラン4661人、リバーロキサバン17801人)

: ワルファリン(15461人)

: 大出血

 

チェック項目

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・集団の代表性は? : 臨床診療研究のデータリンクおよびメディケアのデータベースが使用されており大きな問題はないと思われる

交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている、年齢・性別・地域・併存疾患・併用薬について調整

・追跡期間中央値 : およそ100日くらい

 

結果

・アピキサバン(2.38%/年) vs ワルファリン(4.46%/年)→ハザード比0.53(95%信頼区間0.39~0.71)

・ダビガトラン(3.23%/年) vs ワルファリン(4.80%/年)→ハザード比0.69(95%信頼区間0.50~0.96)

・リバーロキサバン(4.92%/年) vs ワルファリン(5.09%/年)→ハザード比0.98(95%信頼区間0.83~1.17)

 

・ダビガトラン(3.02%/年) vs アピキサバン(2.24%/年)→ハザード比1.41(95%信頼区間0.93~2.14)

・リバーロキサバン(4.24%/年) vs アピキサバン(2.42%/年)→ハザード比1.82(95%信頼区間1.36~2.43)

・リバーロキサバン(3.30%/年) vs ダビガトラン(3.14%/年)→ハザード比1.05(95%信頼区間0.74~1.49)

 

感想

これまでにネットワークメタ解析はありましたが、観察研究とはいえNOAC同士の直接比較が行われている貴重な報告です。

やはりこれまでの非劣性試験や観察研究などと同様にアピキサバン・ダビガトランはワルファリンと比較すると大出血のリスクは低く、NOACの中でもアピキサバンはより大出血のリスクが低い事が示唆されております。

リバーロキサバンに関してはこれまでの研究と同様に標準用量として20mg/日が使われており、日本の標準用量(15mg/日)ではこの研究よりも出血リスクは低い可能性がありますが、そうすると有効性はどうなの?という疑問も浮かんできます。

 

やはり現時点では出血リスク・有効性を考えるとアピキサバンが優位でしょうか。

 

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