【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

クラリスロマイシンとスタチンの併用で死亡リスクは増加しますか?

「A population-based analysis of the risk of drug interaction between clarithromycin and statins for hospitalisation or death.」

PMID: 26497728

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26497728

 

PECO

P : 18歳以上のクラリスロマイシンが処方された患者(28484人、オーストラリア)

E : スタチンを使用している(1日以上併用している)

: スタチンを併用していない

O : クラリスロマイシン服用開始後30日以内の入院または死亡

 

チェック項目

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・集団の代表性は? : 健康保険のデータが使用されており、大きな問題はないと思われる

・交絡因子の調整は? : 年齢・糖尿病・心血管疾患・その他の抗菌薬の使用

 

結果

※使用されていたスタチン:シンバスタチン(65.6%)・アトルバスタチン(8.4%)・プラバスタチン(6.5%)・フルバスタチン(8.8%)・ロスバスタチン(7.6%)

 

・未調整ハザード比2.11(95%信頼区間1.79~2.48)P<0.001

・調整ハザード比1.02(95%信頼区間0.85~1.22)P=0.85

 

感想

前回のコホート研究とは違い、今回の研究ではCYP3A4阻害の影響を比較的大きく受けるスタチンが含まれているものの調整後は入院・死亡リスクについては差がみられておりません。

前回のコホート研究と比べると症例数が少ない点や、用量についての記載は見当たりませんでしたがクラリスロマイシンの用量の違いなどが結果の違いに繋がっているのかもしれませんが、やはりこの研究のみでは併用が安全だと結論することは出来ず、特に高齢者や腎機能が低下している患者等では注意が必要です。

 

 

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