CYP3A4阻害の影響を受けづらいスタチンはクラリスロマイシンを併用しても大丈夫ですか?
「Risk of adverse events among older adults following co-prescription of clarithromycin and statins not metabolized by cytochrome P450 3A4.」
PMID:25534598
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25534598
PECO
P : CYP3A4で代謝されないスタチンが処方されている(ロスバスタチン 76%・プラバスタチン 21%・フルバスタチン 3%)平均年齢74歳の患者(104041人、カナダ)
E : クラリスロマイシンを併用(51523人、中央値で1000mg/日が10日間)
C : アジスロマイシンを併用(52518人、中央値で300mg/日が5日間)
O : 30日以内の横紋筋融解症による入院・急性腎障害による入院・高カリウム血症による入院・総死亡
チェック項目
・研究デザイン : 人口ベースの後ろ向きコホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・集団の代表性は? : 一般住民の医療データベースが使用されており、大きな問題はないと思われる
・交絡因子の調整は? : 年齢・性別・登録した年・慢性腎疾患・脳卒中又は一過性脳虚血発作・末梢血管疾患・冠動脈疾患・うっ血性心不全・重大な癌・糖尿病・β遮断薬・Ca拮抗薬・利尿薬・ACE阻害薬又はARB・NSAIDs
チェック項目
[横紋筋融解症による入院]
E群(0.03%) vs C群(0.01%)→調整相対リスク2.27(95%信頼区間0.86~5.96)
[急性腎障害による入院]
E群(0.34%) vs C群(0.23%)→調整相対リスク1.65(95%信頼区間1.31~2.09)、NNH=909人
[高カリウム血症による入院]
E群(0.06%) vs C群(0.03%)→調整相対リスク2.17(95%信頼区間1.22~3.86)、NNH=3334人
[総死亡]
E群(0.39%) vs C群(0.30%)→調整相対リスク1.43(95%信頼区間1.15~1.76)、NNH=1112人
感想
CYP3A4阻害による影響を受けづらいスタチンでも肝臓へ取り込むトランスポータであるOATP1B1・OATP1B3を阻害するクラリスロマイシンとの併用により急性腎障害・高カリウム血症・総死亡のリスクが増加することが示唆されております。
日本で通常使用される用量と比較すると倍以上の用量で使用されており、日本で使われる用量ではリスクは更に小さくなる可能性はありますが、特に総死亡については軽視することはできないためやはり高齢者では極力併用は避けるべきであると思います。