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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

厳格な血糖コントロールで大血管障害・細小血管障害のリスクは減らせますか?

 

「Effect of tight blood glucose control versus conventional control in patients with type 2 diabetes mellitus: a systematic review with meta-analysis of randomized controlled trials.」

PMID:22212499

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22212499

 

PECO

: 6RCTに参加した18歳以上の2型糖尿病患者(27654人)

: 厳格な血糖コントロール

: 標準的な血糖コントロール

: 総死亡・心血管死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・下肢切断・網膜症・末梢神経障害・自律神経障害・腎障害・重度の低血糖

 

チェック項目

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 複数設定されているため注意

・評価者バイアス : 2人の研究者が独立して評価している。

・出版バイアス : 言語の制約なく検索されている。研究数が少ないためfunnel plotは使用できないと記載されている。

・元論文バイアス : 全てRCT。KUMAMOTO studyではランダム化や割り当てが「unclear」とされており、質の高いRCTのみではない点に注意が必要。

・異質性バイアス : 異質性検定は行われているが、フォレストプロットに各研究の記載はない。

・追跡期間の範囲 : 2.25~10年間

・平均糖尿病罹患期間 : 7.7~11.5年間

 

結果

[総死亡]

E群(9.5%) vs C群(8.2%)→相対リスク1.03(95%信頼区間0.90~1.17)、I2=50%、GRADE→moderate

[心血管死亡]

E群(5.0%) vs C群(4.3%)→相対リスク1.04(95%信頼区間0.83~1.29)、I2=60%、GRADE→low

[非致死的心筋梗塞]

E群(4.3%) vs C群(4.5%)→相対リスク0.85(95%信頼区間0.76~0.95)、I2=0%、GRADE→high

[非致死的脳卒中]

E群(2.9%) vs C群(2.7%)→相対リスク1.02(95%信頼区間0.88~1.17)、I2=0%、GRADE→high

[下肢切断]

E群(1.1%) vs C群(1.7%)→相対リスク0.69(95%信頼区間0.44~1.08)、I2=0%、GRADE→moderate

[網膜症の発症]

E群(36.1%) vs C群(44.9%)→相対リスク0.75(95%信頼区間0.37~1.53)、I2=65%、GRADE→low

[網膜症の進展]

E群(19.8%) vs C群(19.1%)→相対リスク0.80(95%信頼区間0.71~0.91)、I2=0%、GRADE→high

[自律神経障害]

E群(17.2%) vs C群(17.7%)→相対リスク1.15(95%信頼区間0.72~1.86)、I2=75%、GRADE→high

[末梢神経障害]

E群(37.7%) vs C群(43.8%)→相対リスク0.94(95%信頼区間0.89~0.99)、I2=2%、GRADE→low

[腎障害の発症]

E群(6.9%) vs C群(10.0%)→相対リスク0.69(95%信頼区間0.42~1.14) 、I2=73%、GRADE→low

[腎障害の進展]

E群(4.7%) vs C群(8.8%)→相対リスク0.55(95%信頼区間0.37~0.80)、I2=0%、GRADE→moderate

[重度の低血糖]

E群(5.5%) vs C群(2.3%)→相対リスク2.39(95%信頼区間1.79~3.18)、I2=62%、GRADE→moderate

 

感想

以前読んだメタ解析(関連記事 ※1)と同様に厳格な血糖コントロールを行うことで心筋梗塞のリスクが減少することが示唆されていますが絶対リスクを見てみるとあまり大きな差ではなく、その他の心血管イベントや死亡については有意な差は見られておりません。

ただし細小血管障害についてはいくつかのアウトカムについてリスクを減少させることが示唆されております。死亡等に差は見られていないものの、細小血管障害もQOLに大きな影響を与えるアウトカムであるため軽視すべきではないかもしれません。

 

ACCORD試験(関連記事 ※2)では厳格な血糖コントロールによって心血管死亡リスク増加が示唆されておりましたが、このメタ解析ではリスクの減少も増加も見られず、早期終了によって過大評価されていた可能性もあるのかもしれません。

ただ、「厳格な」と言っても追跡期間中のHbA1cが6.4~7.2%とRCT間でもやや幅があり異質性も高いため統合されているRCTを個別に読んで目標とするHbA1cについて改めて考える必要はあるかと思います。

 

いずれにしろ一次アウトカムが多すぎで、仮説生成的なメタ解析であり少なくとも「厳格な」血糖コントロールが推奨されるような結果ではないという点には留意すべきかと思います。

 

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※1


※2 

 

※参考までに