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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

腎機能の程度によってスタチンの効果に違いはありますか?

脂質異常症・脂質降下薬

「Impact of renal function on the effects of LDL cholesterol lowering with statin-based regimens: a meta-analysis of individual participant data from 28 randomised trials」

DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-8587(16)30156-5

 

PECO

: eGFRが≧60mL/分/1.73m2・45~<60mL/分/1.73m2・30~<45mL/分/1.73m2・<30mL/分/1.73m2で透析なし、または透析を受けている患者(183419人、平均年齢62.6歳、男性58%、血管疾患あり58%、糖尿病あり20%)

: スタチンまたはより厳格なLDL低下治療

: スタチンなしまたは厳格ではない治療

: 重大な血管イベント・重大な冠動脈イベント(非致死的な心筋梗塞・冠動脈疾患による死亡)・冠血行再建術・脳卒中・死亡

 

チェック項目

・研究デザイン : メタ解析

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 複数設定されているため注意

・評価者バイアス : 特に記載は見当たらない

・出版バイアス : 特に記載は見当たらない

・元論文バイアス : 特に記載は見当たらない

・異質性バイアス : 特に記載は見当たらない

・追跡期間中央値 : 4.9年

 

結果

※LDL-Cが39mg/dL低下することによる率比

 

[重大な冠動脈イベント]

・eGFR≧60mL/分/1.73m2

E群(1.2%) vs C群(1.6%)→率比0.74(95%信頼区間0.70~0.79)、NNT=250

・eGFR45~<60mL/分/1.73m2

E群(1.7%) vs C群(2.2%)→率比0.76(95%信頼区間0.69~0.84)、NNT=200

・eGFR30~<45mL/分/1.73m2

E群(2.3%) vs C群(2.8%)→率比0.80(95%信頼区間0.68~0.95)、NNT=200

・eGFR<30mL/分/1.73m2

E群(1.5%) vs C群(1.7%)→率比0.87(95%信頼区間0.68~1.12)

・透析患者

E群(2.1%) vs C群(2.3%)→率比0.89(95%信頼区間0.70~1.14)

・全体

E群(1.4%) vs C群(1.8%)→率比0.76(95%信頼区間0.73~0.79)、NNT=250

 

[冠血行再建術]

・eGFR≧60mL/分/1.73m2

E群(1.5%) vs C群(1.9%)→率比0.76(95%信頼区間0.71~0.80)、NNT=250

・eGFR45~<60mL/分/1.73m2

E群(1.5%) vs C群(2.1%)→率比0.71(95%信頼区間0.64~0.80)、NNT=167

・eGFR30~<45mL/分/1.73m2

E群(1.3%) vs C群(1.6%)→率比0.81(95%信頼区間0.64~1.02)

・eGFR<30mL/分/1.73m2

E群(0.9%) vs C群(1.2%)→率比0.78(95%信頼区間0.57~1.05)

・透析患者

E群(1.5%) vs C群(1.8%)→率比0.78(95%信頼区間0.58~1.05)

・全体

E群(1.5%) vs C群(1.9%)→率比0.75(95%信頼区間0.73~0.78)

 

[脳卒中]

・eGFR≧60mL/分/1.73m2

E群(0.5%) vs C群(0.6%)→率比0.83(95%信頼区間0.76~0.92)、NNT=1000

・eGFR45~<60mL/分/1.73m2

E群(0.8%) vs C群(1.0%)→率比0.81(95%信頼区間0.70~0.93)、NNT=500

・eGFR30~<45mL/分/1.73m2

E群(1.3%) vs C群(1.4%)→率比0.91(95%信頼区間0.73~1.13)

・eGFR<30mL/分/1.73m2

E群(1.1%) vs C群(1.3%)→率比0.83(95%信頼区間0.63~1.10)

・透析患者

E群(1.7%) vsC群(1.6%)→率比1.09(95%信頼区間0.82~1.44)

・全体

E群(0.7%) vs C群(0.8%)→率比0.84(95%信頼区間0.80~0.89)、NNT=1000

 

[重大な血管イベント]

 ・eGFR≧60mL/分/1.73m2

E群(2.9%) vs C群(3.6%)→率比0.78(95%信頼区間0.75~0.82)、NNT=143

・eGFR45~<60mL/分/1.73m2

E群(3.6%) vs C群(4.6%)→率比0.76(95%信頼区間0.70~0.81)、NNT=100

・eGFR30~<45mL/分/1.73m2

E群(4.5%) vs C群(5.2%)→率比0.85(95%信頼区間0.75~0.96)、NNT=143

・eGFR<30mL/分/1.73m2

E群(3.0%) vs C群(3.5%)→率比0.85(95%信頼区間0.71~1.02)

・透析患者

E群(4.7%) vs C群(5.0%)→率比0.94(95%信頼区間0.79~1.11)

・全体

E群(3.2%) vs C群(3.9%)→率比0.79(95%信頼区間0.77~0.81)、NNT=143

 

[総死亡]

・eGFR≧60mL/分/1.73m2

E群(1.6%) vs C群(1.7%)→率比0.89(95%信頼区間0.84~0.94)、NNT=1000

・eGFR45~<60mL/分/1.73m2

E群(2.8%) vs C群(3.0%)→率比0.92(95%信頼区間0.85~1.00)

・eGFR30~<45mL/分/1.73m2

E群(5.5%) vs C群(5.7%)→率比0.96(95%信頼区間0.86~1.06)

・eGFR<30mL/分/1.73m2

E群(6.5%) vs C群(6.8%)→率比0.94(95%信頼区間0.84~1.06)

・透析患者

E群(11.3%) vs C群(11.5%)→率比0.97(95%信頼区間0.88~1.08)

・全体

E群(2.5%) vs C群(2.6%)→率比0.92(95%信頼区間0.89~0.95)、NNT=1000

 

感想

腎機能が低いほどLDL-C低下による効果は見られておりませんが、腎機能が低い患者または透析患者では症例数が少なくなっており検出力が低くなっていると考えられ、このメタ解析のみで効果がないと結論することは出来ないように思います。

どちらかというとこの論文は一次予防・二次予防を含め「全体」でLDL-C低下治療がどの程度効果があるのかという形で見た方が適切なようにも思いますが、また改めて他の論文についても調べる必要がありそうです。

 

また、4つのバイアスについて特に記載はないようですがCTT共同グループのメタ解析に新たにいくつかの試験が統合されて解析されているメタ解析のようなので元のメタ解析についてどのように行われたのかについても調べる必要があります。

また後日。