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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ビスホスホネート製剤は長期間飲んでも大丈夫ですか?

仮想症例シナリオ→告知:ビスホスホネート製剤は長期間飲んでも大丈夫ですか? - 【薬局薬剤師の記録的巻物】

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「Risk of hip, subtrochanteric, and femoral shaft fractures among mid and long term users of alendronate: nationwide cohort and nested case-control study.」

PMID:27353596

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27353596

 

PECO

: 治療開始時に過去にアレンドロン酸の服用のない50~94歳の患者(デンマーク)

[症例]大腿骨転子下骨折・大腿骨幹部骨折または股関節骨折を起こした患者

[対照]年齢・性別・アレンドロン酸の服用開始した年でマッチング

E・C : アレンドロン酸の服用期間やアドヒアランスで比較

: 大腿骨転子下骨折・大腿骨幹部骨折または股関節骨折

 

チェック項目

・研究デザイン : コホート内症例対照研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・調整されている交絡因子は? : 糖尿病・CKD・COPD・心筋梗塞の既往・プレドニゾロン・PPI・チアジド

・集団の代表性は? : オープンレジストリが用いられた全国調査であり、大きな問題はないと思われる

・暴露の定義は? : 処方データベースが用いられ集計されている。デンマークでは通常70mg/週で使用されている。

 

結果

[大腿骨転子下骨折・大腿骨幹部骨折]

①MRP(服薬アドヒアランス)

・50~80% vs <50%→調整オッズ比1.04(95%信頼区間0.84~1.27)P=0.74

・>80% vs <50%→調整オッズ比0.90(95%信頼区間0.78~1.03)P=0.11

②服用期間

・5~<10年 vs <5年→調整オッズ比1.05(95信頼区間0.84~1.28)P=0.58

・≧10年 vs <5年→調整オッズ比0.72(95%信頼区間0.45~1.14)P=0.16

 

[股関節骨折]

①MRP

・50~80% vs <50%→調整オッズ比0.98(95%信頼区間0.89~1.08)P=0.65

・>80% vs <50%→調整オッズ比0.73(95%信頼区間0.69~0.79)P<0.001

②服用期間

・≧5~<10年 vs <5年→調整オッズ比0.74(95%信頼区間0.67~0.83)P<0.001

・≧10年 vs <5年→調整オッズ比0.74(95%信頼区間0.55~0.97)P=0.03

 

感想

これまで読んだ論文ではビスホスホネート製剤の5年以上の服用は骨折リスクをわずかに増加させることが示唆されておりましたが、この研究ではアレンドロン酸の服用期間が長くても非定型骨折リスクの有意な増加は見られず、股関節骨折リスク低下との関連が示唆されております。

また。コンプライアンスが良好であるほど股関節骨折のリスクが低下することも示唆されております。

 

ただし、交絡因子の調整については例えば転倒リスクを増加させる薬などの併用薬やパーキンソン病などの転倒リスクを増加させる併存疾患については調整されておらず十分ではないように思われる点、服用期間が10年以上の人は全体の3%程度であり大腿骨転子下骨折・大腿骨骨幹部骨折についてはβエラーも考えられる点(それでも股関節骨折については有意な差が見られておりますが)、また用量依存性かどうかは不明ではありますがアレンドロン酸の用量が日本で通常使われる量の倍である点には注意が必要ではないかと思います。

それくらいの量でないと股関節骨折の予防には効果がないかもしれないし、それくらいの量を長期間服用しても大腿骨転子下骨折・大腿骨幹部骨折のリスク増加は見られないとも言えるのかもしれません。

 

やはりこの研究の結果のみでは明確な結論は出せず、私自身はビスホスホネート製剤の長期投与によるベネフィットは以前明確ではなく骨折リスクの上昇にも注意すべきであり5年以上服用しているような場合は中止を検討する必要もあるという考えにあまり変化があるものではありませんでしたが、仮想症例シナリオのような患者さんには「週刊誌に書いてあるような事は大げさなのであまり真に受けることはありませんよ。」と言うこともできるし、どうしても不安な場合は中止を提案することもできるかなと思います。

 

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