読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

総死亡・心不全・心血管疾患のリスクを減少させる血糖降下薬は何ですか?

糖尿病・血糖降下薬

「Diabetes treatments and risk of heart failure, cardiovascular disease, and all cause mortality: cohort study in primary care」

BMJ 2016; 354 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i3477 (Published 13 July 2016)Cite this as: BMJ 2016;354:i3477

 

PECO

: 25~84歳の2型糖尿病の患者(英国、469688人)

E : グリタゾン・グリプチン・メトホルミン・SU薬・インスリン・その他の血糖降下薬の使用

: 血糖降下薬の使用なし

: 心不全・心血管疾患・総死亡

 

チェック項目

・研究デザイン : 人口ベースのオープンコホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・集団の代表性は? : 一般診療のデータベースが用いられており問題はないと思われる

・交絡因子の調整は? : 年齢・性別・暦年・糖尿病と診断されてからの期間・民族・生活水準・喫煙歴・その他の血糖降下薬の使用・抗凝固薬・チアジド・ACE阻害薬・ARB・Ca拮抗薬・スタチン・アスピリン・合併症の既往(失明・高血糖・低血糖・切断・腎不全)・高血圧症・心血管疾患・心房細動・慢性腎疾患・関節リウマチ・心臓弁膜症・末梢血管疾患・BMI・収縮期血圧・HbA1c・血清クレアチニン値・コレステロール/HDL比について調整されている

 

結果

追跡期間中に処方されていた割合は、グリタゾン21308人(4.5%)・グリプチン32533人(6.9%)・メトホルミン256024人(54.5%)・SU薬134570人(28.7%)・インスリン19791人(4.2%)・その他の血糖降下薬12062人(2.6%)

 

[総死亡]

・グリタゾン(106.8/10000人年)→調整ハザード比0.77(95%信頼区間0.71~0.84)

・グリプチン(139.3/10000人年)→調整ハザード比0.82(95%信頼区間0.77~0.88)

・メトホルミン(160.4/10000人年)→調整ハザード比0.59(95%信頼区間0.58~0.60)

・SU薬(251.0/10000人年)→調整ハザード比1.10(95%信頼区間1.07~1.12)

・インスリン(437.0/10000人年)→調整ハザード比1.47(95%信頼区間1.41~1.53)

・その他の血糖降下薬(123.7/人年)→調整ハザード比0.82(95%信頼区間073~0.91)

 

[心不全]

・グリタゾン(56.0/10000人年)→調整ハザード比0.74(95%信頼区間0.66~0.83)

・グリプチン(61.3/10000人年)→調整ハザード比0.86(95%信頼区間0.78~0.95)

・メトホルミン(65.9/10000人年)→調整ハザード比0.70(95%信頼区間0.68~0.73)

・SU薬(91.7/10000人年)→調整ハザード比1.04(95%信頼区間1.00~1.08)

・インスリン(130.3/10000人年)→調整ハザード比1.32(95%信頼区間1.22~1.43)

・その他の血糖降下薬(71.2/10000人年)→調整ハザード比0.92(95%信頼区間0.79~1.06)

 

[心血管疾患]

・グリタゾン(147.6/10000人年)→調整ハザード比0.75(95%信頼区間0.69~0.81)

・グリプチン(161.7/10000人年)→調整ハザード比0.94(95%信頼区間0.88~1.00)

・メトホルミン(170.3/10000人年)→調整ハザード比0.76(95%信頼区間0.74~0.78)

・SU薬(211.2/10000人年)→調整ハザード比1.00(95%信頼区間0.97~1.03)

・インスリン(247.1/10000人年)→調整ハザード比1.23(95%信頼区間1.15~1.31)

・その他の血糖降下薬(178.8/10000人年)→調整ハザード比0.95(95%信頼区間0.86~1.05)

 

※併用については割愛させていただきます(Table 4参照)

 

感想

チアゾリジン系薬・DPP-4阻害薬では心不全リスクの減少が見られ、総死亡についてもリスクを減少させることが示唆されている点にやはり注目すべきでしょうか。興味深い結果です。

患者背景を見てみると併存疾患として心血管疾患や心不全を有する割合がSU薬やインスリンが処方されている群では比較的高く、インスリンが処方されている群ではその他の群と比較すると平均のHbA1cが高いため、調整はしっかり行われているような印象ではありますがそもそもリスクが高い人にSU薬やインスリンが処方されているのではないかと考えられる点には注意が必要かと思います。

逆に言えばチアゾリジン系薬などではリスクが低いと思われる患者の方が処方されやすい事が結果に影響を与えているのかもしれません。

などと考えているとわけがわからなくなってしまいますが、個人的にはチアゾリジン系薬は心不全リスク・膀胱がんリスク・骨折リスクについて懸念があり大血管障害に対するベネフィットは不明確であった点から使用すべきではない薬剤のような印象がありましたが、少なくとも服用している患者についてすぐに中止するというような必要はなく患者によっては継続する意義はあるのかもしれないと考えます。

 

関連記事