【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ビスホスホネート製剤の使用期間と骨折リスク(メモ1)

 

「Bisphosphonate use and the risk of subtrochanteric or femoral shaft fractures in older women.」

PMID:21343577

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21343577

→人口ベースのネステッドケースコントロール研究(カナダ)

68歳以上の女性を対象(年齢中央値83歳)にビスホスホネート製剤(アレンドロネート・リセドロネート・エチドロネート)の使用期間と大腿骨転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折にリスクについて検討されている。

暴露については治療開始から100日未満の使用をreferenceとして、100日~3年の使用を短期間、3~5年の使用を中期間、5年以上の使用を長期間と定義している。

集団の代表性・交絡の調整については大きな問題はないと思われる。

 

・短期間→調整オッズ比0.90(95%信頼区間0.48~1.68)

・中期間→調整オッズ比1.59(95%信頼区間0.80~3.15)

・長期間→調整オッズ比2.74(95%信頼区間1.25~6.02)

 

 

 

「Oral bisphosphonates are associated with increased risk of subtrochanteric and diaphyseal fractures in elderly women: a nested case-control study.」

PMID:23370011

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23370011

→プライマリケアのデータベースが用いられたネステッドケースコントロール研究(スペイン)

65歳以上の女性を対象(平均年齢82.2歳)に経口ビスホスホネート製剤(アレンドロネート・リセドロネート・エチドロネート・イバンドロネート)の使用と非定型大腿骨骨折リスクとの関連について検討されている。

暴露については少なくとも1回の処方があるものをEver useとし、骨折発生まで使用または前の月に中止していた例をcurrent use、1~6か月前までに中止していた例をrecent use、6か月以上前に中止していた例をpast useと定義。

集団の代表性・交絡の調整については大きな問題はないものと思わる。

 

・Ever use vs No use→調整オッズ比4.30(95%信頼区間1.55~11.9)

・Past use vs No use→調整オッズ比4.43(95%信頼区間0.62~31.9)

・Recent use vs No use→調整オッズ比3.40(95%信頼区間0.03~384)

・Current use vs No use→調整オッズ比4.29(95%信頼区間1.39~13.3)

 

・≦1年の使用 vs 使用なし→調整オッズ比2.55(95%信頼区間0.47~13.7)

・>1年~≦3年の使用 vs 使用なし→調整オッズ比1.68(95%信頼区間0.36~7.85)

・>3年の使用 vs 使用なし→調整オッズ比31.9(95%信頼区間4.05~251)

 

 

 

「Oral bisphosphonates may not decrease hip fracture risk in elderly Spanish women: a nested case-control study.」

PMID:23430594

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23430594

→プライマリケアのデータベースが用いられたネステッドケースコントロール研究(スペイン)

65歳以上の女性を対象(平均年齢82.4歳)に経口ビスホスホネート製剤(アレンドロネート・リセドロネート・イバンドロネート・エチドロネート)の使用と股関節骨折のリスクについて検討されている。

暴露の定義については1つ上の研究と同様であり、集団の代表性・交絡の調整についても問題はないように思われる。

 

・Ever use vs No use→調整オッズ比1.09(95%信頼区間0.94~1.27)

・Past use vs No use→調整オッズ比1.50(95%信頼区間1.19~1.89)

・Recent use vs No use→調整オッズ比1.34(95%信頼区間0.92~1.95)

・Current use vs No use→調整オッズ比0.84(95%信頼区間0.68~1.03)

 

・>30日~≦1年の使用 vs 使用なし→調整オッズ比1.20(95%信頼区間0.97~1.47)

・>1年~≦3年の使用 vs 使用なし→調整オッズ比0.94(95%信頼区間0.74~1.20)

・>3年の使用 vs 使用なし→調整オッズ比1.15(95%信頼区間0.82~1.60)

 

 

「The Association Between Long-Term Bisphosphonate Use and the Risk of Fracture Among Women Aged 50 or Older with Osteoporosis.」

PMID:27096405

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27096405

※抄録のみ

→国民健康保険のデータベースが用いられた後ろ向きコホート研究(台湾)

骨粗鬆症と診断され経口ビスホスホネート製剤が開始された50歳以上の女性1342人を対象(平均年齢71歳)に、ビスホスホネート製剤を5年以上使用している長期群と5年未満の標準群を比較して骨折リスクについて検討されている。

 

・長期群 vs 標準群→調整ハザード比1.49(95%信頼区間0.91~2.45)

 

 

ビスホスホネート製剤の3年以上の使用と非定型骨折リスクとに関連が見られ、5年以上の長期使用による骨折予防効果については少なくとも不明確である。