ビタミンDを摂取すると長生きできますか?
「Vitamin D deficiency in elderly people in Swedish nursing homes is associated with increased mortality.」
PMID:24520134
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24520134
PECO
P : スウェーデンにおける、ナーシングホーム(介護付き施設)に入居している65歳以上の高齢者(333人)
E : 血清中の25-ヒドロキシビタミンD3(25(OH)D3)濃度の第1四分位値(11~29nmol/l:Q1) ・第2四分位値(30~37mmol/l:Q2)・第3四分位値(38~47mmol/l:Q3)
C : 第4四分位値(48~120mmol/l:Q4)
O : 死亡
チェック項目
・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・調整された交絡因子は? : 年齢・性別・BMI・収縮期および拡張期血圧・GFR・採血を行った季節・施設に入居している期間・心血管疾患の既往・悪性腫瘍性疾患・認知症・身体活動
・集団の代表制は? : 施設入居者以外の患者への適応は難しいと思われる
・追跡期間 : 平均3年間
結果
・Q1(59%) vs Q4(28%)→調整ハザード比2.20(95%信頼区間1.31~3.21)P<0.05
・Q2(44%) vs Q4(28%)→調整ハザード比2.03(95%信頼区間1.32~3.14)P<0.05
・Q3(45%) vs Q4(28%)→調整ハザード比1.6(95%信頼区間1.03~2.48)P<0.05
*身体活動レベルとビタミンDレベルには正の相関があった。
感想
血清中のカルシジオール濃度が低いほど死亡リスクが増加することが示唆されていますが、濃度が低い人ほど食事から摂取することが困難な人であるとか、身体状態によっては日光を浴びることが少ないなどの交絡も考えられるかと思います。
この結果のみでVDを摂取すれば長生きできると結論するのはやや早計であるようにも思いますが、1日の大半をほぼベッド上で過ごすような高齢者に処方されている骨折予防が目的と思われる活性型VD3製剤に対して「これ以上続ける必要があるの?」 と高Ca血症の副作用も懸念されるため悩んだ記憶がありますが、なんだかちょっと中止の提案がしづらくなったなーと感じてしまいました。
これについてはまた改めて調べてみたいと思います。