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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

転倒リスクを増加させる薬を飲んでいる患者が股関節を骨折すると死亡リスクは高くなりますか?

「Do fall-risk-increasing drugs have an impact on mortality in older hip fracture patients? A population-based cohort study.」

PMID: 27199553 
 

PECO

P : 股関節骨折と診断された60歳以上の患者(スウェーデン、2043人、平均年齢83.0歳)
E : 転倒リスクを増加させる薬剤(FRIDs)の服用あり
C : 服用なし
O : 1年以内の死亡
 
FRIDs→向精神薬(鎮静/催眠薬・抗うつ薬・抗精神病薬・ベンゾジアゼピン系薬)・心血管治療薬(脂質降下薬を除く)・抗コリン薬・抗てんかん薬・パーキンソン病治療薬・オピオイド
 

チェック項目

・研究デザイン : 人口ベースのコホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・交絡因子の調整は? : 年齢・性別
・集団の代表性は? : スウェーデンの一般診療のデータベースが使用されており、大きな問題はないように思われる。
 

結果

※365日以内の死亡のみ記載
 
FRIDs1剤(12.2%)→オッズ比1.18(95%信頼区間0.86~1.62)
・FRIDs2剤(14.3%)オッズ比0.89(95%信頼区間0.66~1.21)
・FRIDs3剤(15.4%)オッズ比1.11(95%信頼区間0.84~1.48)
・FRIDs4剤以上(25.4%)→オッズ比1.43(95%信頼区間1.13~1.80)
 
・薬剤5種類以上(48.5%)→オッズ比1.5(95%信頼区間1.21~1.85)
・薬剤10種類以上(17.3%)→オッズ比1.62(95%信頼区間1.24~2.10)
 
・向精神薬3剤以上(11.8%)→オッズ比0.98(95%信頼区間0.71~1.35)
・心血管治療薬(43.8%)→オッズ比1.43(95%信頼区間1.16~1.76)
・向精神薬(45.4%)→オッズ比1.33(95%信頼区間1.08~1.63)
・鎮静/催眠薬→オッズ比1.19(95%信頼区間0.96~1.48)
・抗精神病薬(8.0%)→オッズ比1.37(95%信頼区間0.95~1.97)
・抗うつ薬(20.9%)→オッズ比1.14(95%信頼区間0.89~1.47)
・ベンゾジアゼピン系薬(19.6%)→オッズ比1.27(95%信頼区間0.99~1.64)
・オピオイド(20.9%)→オッズ比1.37(95%信頼区間1.07~1.75)
・抗コリン薬(13.4%)→オッズ比1.03(95%信頼区間0.76~1.39)
 
・ビスホスホネート(3.5%)→オッズ比1.3(95%信頼区間0.76~2.22)
・Ca+VD(9.0%)→オッズ比0.99(95%信頼区間0.68~1.43)
 

感想

股関節骨折患者においてFRIDsを4剤以上服用していたりポリファーマシーがある場合に1年以内の死亡リスク増加との関連が見られていますが、薬剤別に見ると心血管治療薬・オピオイドなどがリスク増加と関連しており、交絡因子の調整については十分ではない点を考えると飲んでいる薬の数が多い人ほどまた別の要因で亡くなりやすいとも考えられるかなと思います。
 
それにしても、薬を飲む飲まないに関わらず股関節骨折と診断された患者のうち約1/4の患者が1年以内に亡くなっており率直に多いなという印象を受けました。
高齢者の転倒はやはり怖いため、FRIDsが処方されている場合は十分に注意を促し、場合によっては患者とよくコミュニケーションをとったうえで減らしていくということもやはり重要であると思います。
 
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