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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

心血管疾患リスクが中程度の患者でも降圧治療とスタチン使用の両方を行った方が良いですか?

脂質異常症・脂質降下薬 高血圧・降圧薬

これまで心血管疾患の既往はないがリスク因子を有する患者に対する降圧治療とスタチンの効果について比較した試験について読んできましたが、

 

 

 
今回は降圧治療+スタチンの群とプラセボ+プラセボの群で比較したものを読んでみたいと思います。
 
「Blood-Pressure and Cholesterol Lowering in Persons without Cardiovascular Disease」
April 2, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1600177
 

PECO

P : 心血管疾患の既往はなく、心血管リスク因子であるウェスト/ヒップ比が高い・低HDLコレステロール・過去又は現在喫煙している・耐糖能異常・若年性冠動脈疾患の家族歴がある・軽度の腎機能障害ありのうち1つ以上を有する55歳以上の男性又は65歳以上の女性(21ヶ国228施設、12705人)
E : カンデサルタン16mg/日及びヒドロクロロチアジド12.5mg/日+ロスバスタチン10mg/日(3180人)
C : プラセボ+プラセボ(3168人)
O : 心血管死亡・非致死性脳卒中・非致死性心筋梗塞の複合アウトカム及びこの複合アウトカム(First coprimary outcome)に更に心拍停止からの蘇生・心不全・血行再建を加えた複合アウトカム(Second coprimary outcome)
 

チェック項目

過去2回の記事と同様のため今回は割愛させていただきます。
 

結果

・First coprimary outcome : E群(3.6%) vs C群(5.0%)→ハザード比0.71(95%信頼区間0.56~0.90)P=0.005、NNT=72人
・Second coprimary outcome : E群(4.3%) vs C群(5.9%)→ハザード比0.72(95%信頼区間0.57~0.89)P=0.003、NNT=63人
 
複合アウトカムの各要素は、
・心血管死亡→ハザード比0.82(95%信頼区間0.60~1.11)、NNT=200人
・心筋梗塞→ハザード比0.55(95%信頼区間0.32~0.93)、NNT=200人
・脳卒中→ハザード比0.56(95%信頼区間0.36~0.87)、NNT=143人
・心停止からの蘇生→ハザード比0.33(95%信頼区間0.03~3.18)
・血行再建→ハザード比0.59(95%信頼区間0.37~0.95)、NNT=167人
・心不全→ハザード比0.55(95%信頼区間0.25~1.19)、NNT=334人
 

感想

複合アウトカムについて有意なリスクの低下が見られていますが、前回のロスバスタチンとプラセボとの比較とそれほど大きな差はないように思います。
そもそも降圧治療に関してはリスクの有意な低下は見られていませんでしたが、心血管疾患リスクがそれほど高くないと思われる患者において降圧治療とスタチンを併用する意義はあまりないのかもしれません。
 
 
やや古い論文ではありますが、高血圧で心血管リスク因子を複数有する患者では降圧薬とスタチンの併用による相乗効果が示唆されている研究もあるため(PMID: 17145722 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17145722?dopt=Abstract )、やはりまずは患者のリスクを丹念に見積もるという事が重要なのだろうと思います。
まあこちらも早期に終了されたランダム化比較のサブ解析であるため結果は過大評価されている可能性があり、降圧薬+スタチンについてはまた改めて調べてみなければいけませんね。宿題ばかり…