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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

降圧薬の併用をする場合は何が良いですか?

高血圧・降圧薬

「Angiotensin System Blockade Combined With Calcium Channel Blockers Is Superior to Other Combinations in Cardiovascular Protection With Similar Blood Pressure Reduction: A Meta-Analysis in 20,451 Hypertensive Patients.」

PMID: 26778747 
 

PECO

P : RCT8試験に参加した高血圧の患者20451人
E : RA系阻害薬(ACE阻害薬/ARB)及びCa拮抗薬の併用
C : その他の併用療法
O : 収縮期血圧・拡張期血圧・心血管複合アウトカム(心血管死亡・非致死性脳卒中・非致死性心筋梗塞)・総死亡・脳卒中・eGFRの低下・有害事象
 

チェック項目

・研究デザイン : メタ解析
・真のアウトカムか? : 血圧・eGFR→代用のアウトカム、死亡・心筋梗塞・脳卒中・有害事象→真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 複数設定されており明確ではない
・評価者バイアス : 「All data were extracted and checked by two independent authors」の記載あり
・出版バイアス : 言語の制約なく検索されているが、「the publication bias cannot be dismissed」と記載されている
・元論文バイアス : 全てRCTだが、RCTの質についての検討は記載されていない
・異質性バイアス : 「when P<.1 or I2>50%, the heterogeneity was considered statistically significant」と記載されている
 

結果

・収縮期血圧→平均差0.08mmHg(95%信頼区間-0.93~1.10)P=0.87、異質性P=0.002・I2=69%
・拡張期血圧→平均差-0.22mmHg(95%信頼区間-0.99~0.54)P=0.56、異質性P<0.0001・I2=79%
・総死亡 : E群(3.44%) vs C群(3.84%)→リスク比0.90(95%信頼区間0.77~1.04)P=0.15、異質性P=0.78・I2=0%、NNT=250
・心血管複合アウトカム : E群(4.08%) vs C群(5.11%)→リスク比0.80(95%信頼区間0.70~0.91)P=0.0007、異質性P=0.95・I2=0%、NNT=97
・脳卒中 : E群(2.03%) vs C群(2.40%)→リスク比0.85(95%信頼区間0.70~1.03)P=0.09、異質性P=0.46・I2=0%、NNT=271
・eGFRの低下→平均差-0.22ml/分/1.73m2(95%信頼区間-0.99~0.54)P=0.56、異質性P<0.0001・I2=79%
・有害事象(めまい・末梢性浮腫・空咳・低カリウム血症) : E群(33.8%) vs C群(36.0%)→リスク比0.96(95%信頼区間0.84~1.05)P=0.34、異質性P=0.06・I2=56%、C群のNNH=46
・重篤な有害事象(不整脈・悪性腫瘍・腎機能障害) : E群(7.43%) vs C群(8.80%)→リスク比0.85(95%信頼区間)P=0.03、異質性P=0.97・I2=0%、C群のNNH=73
 

感想

総死亡については有意な差は見られていないものの、心血管死亡・非致死率脳卒中・非致死性心筋梗塞の複合アウトカム及び重篤な有害事象については有意なリスクの低下が見られています。全体的にRA系阻害薬とCa拮抗薬の併用は他の併用療法と比較して有利な印象です。
ただしその差はあまり大きいものではなく、更にアウトカムが多く設定されており出版バイアス・元論文バイアスについての可能性が排除できないため割り引いて考える必要がある事を考慮すると、1剤のみでの血圧管理が難しい場合RA系阻害薬とCa拮抗薬の併用が積極的に推奨されるという結果ではなく、このメタ解析に含まれているランダム化比較試験で行われている併用療法ではいずれもあまり大きな差はないのではないかと思います。
いずれにしろ、幾つかのアウトカムで大きなウェイトを占めているACCOMPLISH試験を読む必要がありそうなのでそちらについてはまた後日読んでみたいと思います。
 
 
ちなみに、こちらのコラム(青島周一の「これで解決!ポリファーマシー」http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/aoshima/201603/546194.html )で引用されている論文によると(PMID:21295192 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21295192 、PMID:15249797 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15249797 )、Ca拮抗薬による浮腫に利尿剤では効果が見られず、RA系阻害薬で軽減できる可能性があるため、Ca拮抗薬とRA系阻害薬の併用を考慮すべき場合もあるという事は覚えておくべきかと思います。
 
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