【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

アルツハイマー型認知症になりにくい生活習慣とは?

「Epidemiologic studies of modifiable factors associated with cognition and dementia: systematic review and meta-analysis.」

PMID: 24962204
 

PECO

P : 247の観察研究
E・C : 教育・喫煙・飲酒・身体活動・カフェイン摂取・抗酸化物質・ホモシステイン濃度・n-3脂肪酸摂取を比較
 

チェック項目

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・評価者バイアス : 特に記載なし
・出版バイアス : Funnel plotを用いて検討されており「indication of non-appreciable publication bias」と記載されている
・元論文バイアス : 観察研究のメタ解析
・異質性バイアス : ブロボグラムの方向性が一致していないものがあるため注意
 

結果

[教育を受けた期間]
短い(<8年) vs 長い(>8年)→リスク比1.99(95%信頼区間1.30~3.04)異質性P=0.01
 
[喫煙]
過去に喫煙したことがあるか現在喫煙中 vs 喫煙したことがない→リスク比1.37(95%信頼区間1.23~1.52)異質性P<0.001
 
[飲酒]
関連は見られていない
 
[身体活動]
高い vs 低い→リスク比0.58(95%信頼区間0.49~0.70)異質性P=0.867
 
[カフェイン摂取]
関連は見られていない
 
[抗酸化物質(ビタミンE・ビタミンC)摂取]
関連は見られていない
 
[血清ホモシステイン濃度]
高い vs 低い→リスク比1.93(95%信頼区間1.50~2.49)異質性P=0.620
 
[n-3脂肪酸摂取]
多い vs 少ない→リスク比0.67(95%信頼区間0.47~0.96)異質性P=0.166
 

感想

身体活動量が多く、n-3脂肪酸の摂取量が多いとアルツハイマー認知症の発症リスクが低くなり、逆に教育を受けた期間が短く、喫煙歴があり、血清ホモシステイン濃度が高いと発症リスクが高くなる事が示唆されています。
 
 
n-3脂肪酸と言えば以前、魚の摂取と認知症リスク低下との関連が示唆されている観察研究を読んだことがありました。(PMID: 19553298  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19553298 )
 
血清ホモシステイン濃度についてはビタミンB12・ビタミンB6・葉酸などを摂取すると低くなると言われておりますが、そういったものを摂取することで認知症の予防が出来るかどうかについては今のところ不明です。
 
教育に関しては今更どうしようもないという事もありますが、一先ず定期的に運動をして、肉よりは魚を食べ、煙草は吸わずと言ったなんだか一般的に健康に良さそうな生活習慣がアルツハイマー認知症の予防になるということが示唆されていますが、教育・喫煙に関しては異質性が高く、交絡の余地も大きいため精神的・肉体的・時間的・経済的に無理をしてまでこれに従った生活をするという事は行わなくても良いのかなと思います。
 
 
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