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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

アピキサバンは出血リスクが低いですか?

前回読んだネットワークメタ解析に含まれていたアピキサバンに関する論文は一報のみだったため今回はそちらを読んでみたいと思います。

 
 
「Oral Apixaban for the Treatment of Acute Venous Thromboembolism」
PMID: 23808982
 

PECO

P : 症候性の深部静脈血栓又は肺塞栓症が確認された18以上の患者(28ヶ国、5395人)
E : 最初の7日間はアピキサバン10mgを1日2回、その後6ヶ月間は5mgを1日2回服用(2691人)
C : 最初の5日間はエノキサパリン1mg/kgを12時間毎に投与し、同時にワルファリンを開始し、ワルファリンはINRが2.0~3.0を維持するように調節し6ヶ月間続ける(2704人)
O : ①有効性→症候性静脈血栓塞栓症の再発又は静脈血栓塞栓症関連死亡  ②安全性→大出血
 

チェック項目

・研究デザイン : ランダム化比較試験(非劣性試験)
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 層別ランダム化が行われている
・盲検化が行われているか? : 二重盲検が行われている
・ITT解析が行われているか? : ①有効性→ITT解析が行われている  ②安全性→割り付け後に治療を続けた患者のみを解析
・脱落者→14.6%
・サンプルサイズ : 5400例(パワー90%)
・患者背景 : 気になるような偏りは見られない
 

結果

①有効性:E群(2.3%) vs C群(2.7%)→相対リスク0.84(95%信頼区間0.60~1.18)P<0.001
②安全性:(非劣性マージンは相対リスク1.8)→E群(0.6%) vs C群(1.8%)→相対リスク0.31(95%信頼区間0.17~0.55)P<0.001、C群のNNH=84人
 
※二次アウトカム
・大出血ではないが臨床上問題となる出血:E群(3.8%) vs C(8.0%)→相対リスク0.48(95%信頼区間0.38~0.60)P<0.001、C群のNNH=24人
・大出血又は臨床上問題となる出血:E群(4.3%) vs C群(9.7%)→相対リスク0.44(95%信頼区間0.36~0.55)P<0.001、C群のNNH=19人
 

感想

従来療法との比較でアピキサバンの非劣性が示されており、一次アウトカムではないがやはり出血に対するリスクの低下が示唆されています。
 
内的妥当性については大きな問題はないように思いますが、前回のネットワークメタ解析ではアピキサバンについてはBristol-Myer社とPfizer社主導で行われた「少なくとも劣っていない」とする非劣性試験のみが解析に含まれている点、あくまでもNOAC同士の直接対決ではない点を考えるとやはりある程度割り引いて考える必要があるのかもしれません。
 
 
 
ちなみにINRは2.0~3.0の範囲でコントロールされていますが、日本人ではINR≧2.6で出血性イベントの増加が見られるとする研究もあるため(Intern Med. 2001 Dec;40(12):1183-8. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11813841 )、記載はされておりませんが、平均どの程度でコントロールされていたのかもちょっと気になります。