【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

マクロライド系抗菌薬は心室性不整脈のリスクを増加させますか?

「Macrolide antibiotics and the risk of ventricular arrhythmia in older adults」

CMAJ February 22, 2016 First published February 22, 2016, doi: 10.1503/cmaj.150901
 

PECO

P : 65歳以上の外来患者1321491人(カナダ・オンタリオ州、平均年齢74歳、女性57%)
E : マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン・クラリスロマイシン・エリスロマイシン)の使用
C : マクロライド系抗菌薬以外の抗菌薬(アモキシシリン・セフロキシム・レボフロキサシン)の使用
O : 30日以内の心室性不整脈による救急受診又は入院
 

チェック項目

・研究デザイン : 人口ベースの後ろ向きコホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている(詳細→http://m.cmaj.ca/content/suppl/2016/02/22/cmaj.150901.DC1/150901-res-5-at.pdf)
・集団の代表性は? : 一般診療のデータベース使用されており、大きな問題はないと思われる
 

結果

・心室性不整脈 : E群(0.03%) vs C群(0.03%)→相対リスク1.06(95%信頼区間0.83~1.36)P=0.6
 
※二次アウトカム
・総死亡 : E群(0.62%) vs C群(0.76%)→相対リスク0.82(95%信頼区間0.78~0.86)P<0.001
 

感想

高齢者では他の抗菌薬と比較してマクロライド系抗菌薬の使用による心室性不整脈の発生については有意な差は見られていない。
また、二次アウトカムではあるが総死亡の有意な減少が見られている。
 
 
 
過去の観察研究では(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25409476)、アジスロマイシンのみ心室性不整脈のリスク増加が見られているものもあるため、マクロライド系抗菌薬の中でも注意が必要なものがあるのかもしれませんが、いずれにしろ他の論文についても改めて調べて読んでみる必要がありそうです。