2型糖尿病に対して厳格な血糖コントロール又は多因子に対する介入を行うべきですか?
「Effects of glucose-lowering and multifactorial interventions on cardiovascular and mortality outcomes: a meta-analysis of randomized control trials」
PMID: 26282461
PECO
P : 18歳以上の2型糖尿病患者
E : 厳格な血糖コントロール単独又は多因子に対する介入のうちの1つとしての厳格な血糖コントロール
C : 通常ケア・プラセボ又は激しくない血糖コントロール
O : 心筋梗塞・脳卒中・心血管疾患死亡・総死亡
チェック項目
・研究デザイン : メタ解析
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 複数設定されているため注意
・評価者バイアス : 2人の評価者が独立して評価している
・出版バイアス : Funnel plotを用いて検討されており「does not appear to show marked evidence of asymmetry for all four outcomes」と記載されている。また、「The Eggers test for publication bias was not statistically significant」と記載されている。言語の制限はなく、未発表の論文も探している。
・元論文バイアス : 全てランダム化比較試験で、「The Cochrane Collaboration’s tool」によって評価されている。(結果については記載なし)
・異質性バイアス : ブロボグラムの方向性は一致していないように見える。
結果
[厳格な血糖コントロール単独又は多因子に対する介入]
・心筋梗塞→リスク比0.89(95%信頼区間0.83~0.96)I2=0%・P=0.588
・脳卒中→リスク比0.96(95%信頼区間0.87~1.07)I2=2.7%・P=0.420
・心血管疾患死亡→リスク比1.00(95%信頼区間0.90~1.11)I2=42.5%・P=0.026
・総死亡→リスク比1.00(95%信頼区間0.94~1.06)I2=25.3%・P=0.158
※サブグループ解析
[厳格な血糖コントロール単独]
・心筋梗塞→リスク比0.90(95%信頼区間0.84~0.97)
・脳卒中→リスク比0.99(95%信頼区間0.89~1.10)
・心血管疾患死亡→リスク比1.02(95%信頼区間0.92~1.13)
・総死亡→リスク比1.01(95%信頼区間0.95~1.08)
[多因子に対する介入]
・心筋梗塞→リスク比0.65(95%信頼区間0.42~1.03)
・脳卒中→リスク比0.53(95%信頼区間0.32~0.87)
・心血管疾患死亡→リスク比0.72(95%信頼区間0.46~1.13)
・総死亡→リスク比0.82(95%信頼区間0.65~1.05)
感想
これまでの知見通り厳格な血糖コントロールにより心筋梗塞のリスクはわずかに減少するが、脳卒中や死亡についてはリスクの減少は見られていない。
サブグループ解析では多因子に対する介入でも心血管疾患死亡や総死亡のリスクを減少させる傾向にあるものの有意な差は見られていない。また、糖尿病罹患期間との関連は見られていない。
2型糖尿病患者に対する治療のベネフィットについて私個人としては今のところあまり明確なことはわからない印象ですが、厳格な血糖コントロールなしで多面的な治療を行う方がベターなのかなと思います。
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