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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

糖尿病患者の降圧はRA系阻害薬を使うべきですか?

これまで糖尿病患者に使用する降圧薬は何が良いのか?について検討されている論文を2報ほど読んできましたが、

 

 

 

今回は糖尿病患者とレニン・アンジオテンシン系阻害薬について検討されている論文を読んでみたいと思います。
 
「Diabetes mellitus as a compelling indication for use of renin angiotensin system blockers: systematic review and meta-analysis of randomized trials」
BMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i438 (Published 11 February 2016)
Cite this as: BMJ 2016;352:i438
 

PECO

P : 19RCTに参加した糖尿病又は空腹時高血糖のある患者25414人
E : RA系阻害薬による降圧
C : その他の降圧薬による降圧
O : 死亡・心血管死亡・心筋梗塞・狭心症・脳卒中・心不全・血行再建・末期腎不全・主要有害心血管イベント・有害事象による薬の中止
 

チェック項目

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析
 
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
 
・一次アウトカムは明確か? : 複数設定されており明確ではない。
 
・評価者バイアス : 「Three authors (RF, BT, SB) independently assessed trial eligibility, trial bias risk, and data extraction, with disagreements resolved by consensus.」と記載されている。
 
・出版バイアス : Begg’s and the Egger’s test及びFunnel plotを用いて検討されており、「no evidence of small study effect/ publication bias 」と記載されている。また、言語の制約なく探している。
 
・元論文バイアス : 全てRCTで、「allocation sequence generation」はunclear bias riskが4つ、「allocation concealment」はunclear bias riskが6つ、「allocation blinding of outcome assessors」はunclear bias riskが2つ。全体的には大きな問題はないような印象。
 
・異質性バイアス :  「I2 value less than 25% considered low and more than 75% high」の記載あり。
 
・平均追跡期間 : 3.8年
 

結果

[RA系阻害薬 vs その他の降圧薬]
・死亡→相対リスク0.99(95%信頼区間0.93~1.05)、I2=0%
※Ca拮抗薬・利尿薬・β遮断薬との比較でも有意な差は見られていない
 
・心血管死亡→相対リスク1.02(95%信頼区間0.83~1.24)、I2=2.5%
※降下圧薬別の比較でも有意な差は見られていない
 
・心筋梗塞→相対リスク0.87(95%信頼区間0.64~1.18)、I2=48.1%
※降圧薬別の比較でも有意な差は見られていない
 
・狭心症→相対リスク0.80(95%信頼区間0.58~1.11)、I2=3.8%
※降圧薬別の比較でも有意な差は見られていない
 
・脳卒中→相対リスク1.04(95%信頼区間0.92~1.17)、I2=12.2%
※降圧薬別の比較でも有意な差は見られていない
 
・心不全→相対リスク0.90(95%信頼区間0.76~1.07)、I2=47.7%
※降圧薬別の比較でも有意な差は見られていない
 
・血行再建→相対リスク0.97(95%信頼区間0.77~1.22)、I2=0%
※降圧薬別の比較でも有意な差は見られていない
 
・薬の中止→相対リスク0.80(95%信頼区間0.61~1.05)、I2=48.4%
※降圧薬別の比較でも有意な差は見られていない
 
・末期腎不全→相対リスク0.99(95%信頼区間0.78~1.28)、I2=47.7%
※降圧薬別の比較でも有意な差は見られていない
 
・主要有害心血管イベント→相対リスク0.97(95%信頼区間0.89~1.06)
 

感想

まずはアウトカム多すぎだろと思いましたが、糖尿病を有する患者の降圧においてRA系阻害薬はその他の降圧薬と比較して、死亡や心血管疾患等のアウトカムに対して明確な差は見られていません。
 
個人的にはβ遮断薬との比較でも有意な差が見られていない点がちょっとだけ意外でしたが、追跡期間が平均3.8年とやや短いのかなという印象ですが高血圧を有する糖尿病患者に対して降圧治療を行う際は単剤では降圧薬の種類によるアウトカム改善の差は明確ではないと思います。
 
メタ解析解析に含まれているRCTで大きなウェイトを占めているものについてはまた後ほど読んでみようと思います。
では皆様良い週末を!
 
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