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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ベンゾジアゼピン系薬は認知症やアルツハイマー病のリスクになりますか?

ベンゾジアゼピン系薬 認知症

「Benzodiazepine use and risk of incident dementia or cognitive decline: prospective population based study」

BMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i90 (Published 02 February 2016)
 

PECO

P : 認知症のない65歳以上の3434人(米国、年齢中央値74.4歳・女性60%)
E : ベンゾジアゼピン系薬の使用あり(少数ではあるが、ゾルピデム・ザレプロン・エスゾピクロン等の非ベンゾジアゼピン系薬も含まれている)※10年間の累積暴露量(TSDDs)で比較
C : 使用なし
O : 認知症又はアルツハイマー病の発症
 

チェック項目

・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・調整された交絡因子は? : 年齢・性別・教育・高血圧・糖尿病・喫煙・脳卒中・冠動脈疾患・BMI・運動・健康な割合・鬱病について調整されている
・集団の代表性は? : シアトルにおける統合医療システムからランダムに選ばれており、大きな問題はないように思われる
・平均追跡期間 : 7.3年(SD4.8)
 

結果

[認知症]
①TSDDs(10年間の累積暴露量) 1~30→調整ハザード比1.25(95%信頼区間1.03~1.51)
②TSDDs 31~120→調整ハザード比1.31(95%信頼区間1.00~1.71)
③TSDDs ≧121→調整ハザード比1.07(95%信頼区間0.83~1.89)
 
[アルツハイマー病]
①TSDDs 1~30→調整ハザード比1.27(95%信頼区間1.03~1.57)
②TSDDs 31~120→調整ハザード比1.16(95%信頼区間0.84~1.60)
③TSDDs ≧121→調整ハザード比0.95(95%信頼区間0.71~1.27)
 

感想

10年間での累積暴露量が低いと認知症やアルツハイマー病との関連が見られるが、高いと関連が見られないという意外な結果。
これは正直どう解釈すべきなのか困ってしまいますが、TSDDs1~30群492例・TSDDs31~120群259例・TSDDs≧121群267例と中等量及び高用量ではサンプル数が少ないためβエラーの可能性もあるのかもしれません。
 
 
また、認知症やアルツハイマー病の早期の症状にベンゾジアゼピン系薬が使用されている可能性があり(結果→原因の関係)、リスクを高めるとしてもわずかである印象ですが、当然ながら転倒等他のリスクも考慮すると漫然と使用されるべきではありません。
 
とは言えやはりなかなか中止・減量するのも難しい薬であるという事を日々痛感しており、出来るだけ漫然投与を減らしていく努力は必要ですが(減量についてのエビデンスもあるようです)、現状服用を続けているもしくは新規で開始される場合は認知症・アルツハイマー病のリスクをわずかに増加させるかもしれないという事を考慮し、服薬状況や残薬等注意深く観察する必要があるかなと思います。