【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

糖尿病患者に対する早期の多因子強化治療で心血管イベントリスクを減らせますか?

以前ADDITION-Cambridge試験の論文を読みましたが、

 

 

なんか似たような名前の試験があったため読んでみたいと思います。
 
 

「Effect of early intensive multifactorial therapy on 5-year cardiovascular outcomes in individuals with type 2 diabetes detected by screening (ADDITION-Europe): a cluster-randomised trial.」

PMID: 21705063
 
 

PECO

P : 糖尿病の既往のない40~69歳の成人(デンマーク・ニュージーランド・イギリスの343施設における3057人、平均年齢60.3歳)
E : スクリーニングで糖尿病と診断された後、多因子強化治療を開始(167施設・1678人)
C : スクリーニングで糖尿病と診断された後、通常の治療を開始(176施設・1379人)
O : 心血管イベントの初発(心血管死亡・心筋梗塞・脳卒中・血行再建・非外傷性切断)
 
※多因子強化治療→HbA1c7.0%未満・総コレステロール193mg/dL未満・血圧135/85mmHg未満等を目標に治療、教育プログラムや生活習慣への指導も行われる
 

チェック項目

・研究デザイン : クラスターランダム化比較試験
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か : 明確
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : PROBEが行われれいる
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : 99.9%
・平均追跡期間 : 5.3年(SD1.6)
・サンプルサイズ : 各群1350人(パワー90%)
・患者背景 : 特に気になるような偏りは見られない
 

結果

E群(8.5%) vs C群(7.2%)→ハザード比0.83(95%信頼区間0.65~1.05)P=0.12
 

感想

糖尿病への早期の多因子に対する介入は心血管イベントの予防について効果が見られていないが、STENO-2の延長試験では同じ多因子に対する介入でも心血管イベントや総死亡を有意に低下させており、追跡期間がもっと長ければ有意な差が見られた可能性はある。
 
長期的に見れば糖尿病患者への多因子に対する介入で心血管イベントリスクを低下させる事は出来るのではないかと考えるが、少なくとも高齢になってから積極的に糖尿病スクリーニングを行うことはする必要はないのではないかと思う。
 

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