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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

収縮期血圧を10mmHg下げるとどれくらい心血管イベントを減らせますか?

高血圧・降圧薬
「Blood pressure lowering for prevention of cardiovascular disease and death: a systematic review and meta-analysis」
Published Online: 23 December 2015

PECO

P : RCT123試験に参加した613815人
E : 降圧薬の使用
: プラセボ  ※又は降圧薬の違い、降圧目標の違いで比較されているもの
O : 心血管イベント・冠動脈疾患・脳卒中・心不全・腎不全・総死亡

チェック項目

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確ではない
・評価者バイアス : 複数の評価者が独立して評価していると思われる
・出版バイアス : 言語の制限なく検索されている。また、個々の専門家と連絡を取っている。
・元論文バイアス : 113試験が「low risk of bias」、10試験が「unclear risk of bias」
・異質性バイアス  : 「Heterogeneity for outcomes was low to moderate」と記載されている

結果

※ベースライン時の収縮期血圧が>130mmHgで、10mmHg低下させた場合

・心血管イベント→相対リスク0.80(95%信頼区間0.77~0.83)P<0.0001  異質性:I2=41.1%、P<0.001
・冠動脈疾患→相対リスク0.83(95%信頼区間0.78~0.88)P=0.058  異質性:I2=25%、P=0.05
・脳卒中→相対リスク0.73(95%信頼区間0.68~0.77)P<0.0001  異質性:I2=25.8%、P=0.0466
・心不全→相対リスク0.72(95%信頼区間0.67~0.78)P<0.0001  異質性:I2=37%、P=0.009
・腎不全→相対リスク0.95(95%信頼区間0.84~1.07)P=0.09  異質性:I2=27.6%、P=0.1459
・総死亡→相対リスク0.87(95%信頼区間0.84~0.91)P=0.014  異質性:34.7%、P=0.0065

感想

収縮期血圧が130mmHgより高い場合、10mmHg下げることで腎不全以外は大体2~3割り程度リスクを下げる事が示唆されており、これまでの知見から予想され得る結果と思われる。

ただ、一次アウトカムが複数設定されており、出版バイアスについて配慮は見られるが検討されてはおらず、異質性バイアスが中等度みられるがブロボグラムが視覚的にバラバラに見えるため
実際には割り引いて考える必要があるかもしれない。



サブグループ解析では、降圧薬のクラス毎に検討されているが総死亡については全て有意な差が見られていない。
※以下有意差があるものだけ記載
・心血管イベント : β遮断薬→1.17(1.11~1.24)
・脳卒中 : ARB→0.92(0.85~0.99)、β遮断薬→1.24(1.14~1.35)
・心不全 : CCB→1.17(1.11~1.24)、利尿剤→0.81(0.75~0.88)
・腎不全 : ACE-I→0.85(0.72~0.99)、β遮断薬→1.19(1.05~1.34)




当然、ベースライン時の収縮期血圧が例えば140mmHgと160mmHgの場合ではそれぞれのリスクの程度も変わるかとは思いますがそちらについては特にサブグループ解析などは行われてはいないようですね。