【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

お酒を飲むと癌になりやすいですか?①

「Light to moderate intake of alcohol, drinking patterns, and risk of cancer: results from two prospective US cohort studies.」

PMID: 26286216
 

PECO

P : 30~55歳の女性88084人及び40~75歳の男性47881人(米国)
E : 飲酒あり
C : 飲酒なし
O : 癌の発症
 

チェック項目

・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・交絡因子の調整は? : 年齢・人種・体重・BMI・癌の家族歴・身体検査・大腸検査・喫煙・身体活動・アスピリンの使用・マルチビタミンの使用・摂取した総エネルギー・赤身や加工された肉の摂取について調整されている
・対象の代表性は? : 一般人に対する大規模な調査によるデータが使用されており大きな問題はないと思われる
 

結果

※アルコールの摂取はビール355mlで12.8g、ワイン118mlで11.0g、蒸留酒44mlで14.0g
 
[女性]
・アルコールの摂取が0.1~4.9g/日→相対リスク1.02(95%信頼区間0.98~1.06)
・5~14.9g/日→相対リスク1.04(95%信頼区間1.00~1.09)
・15~29.9g/日→相対リスク1.13(95%信頼区間1.07~1.19)
・30~44.9g/日→相対リスク1.21(95%信頼区間1.12~1.32)
・≧45g/日→相対リスク1.30(95%信頼区間1.13~1.50)
 
[男性]
・0.1~4.9g/日→相対リスク1.03(95%信頼区間0.96~1.11)
・5~14.9g/日→相対リスク1.05(95%信頼区間0.97~1.12)
・15~29.9g/日→相対リスク1.06(95%信頼区間0.98~1.15)
・30~44.9g/日→相対リスク1.15(95%信頼区間1.04~1.27)
・≧45g/日→相対リスク1.13(95%信頼区間0.99~1.28)
 

感想

女性においてアルコールの摂取と癌の発症に関連が見られているが、「アルコールと関連した癌」で見ると男性でも15g/日以上から癌の発症との関連が見られている。
 
 
調整は行われているものの、やはりお酒を飲む人ほど癌になりやすい生活をしているということも考えられるためこの結果を以て「飲酒、ダメ、ゼッタイ」などとは言えないわけですが、飲み会への参加を強要されるような場合には使える論文かもしれません。
 
ちなみにもう一つ飲酒と癌についてのコホート研究を見つけたのでまた後日読んでみたいと思います。