【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

転倒リスクが増加する薬(fall risk-increasing drugs)はやはり股関節骨折と関連しますか?

「Is use of fall risk-increasing drugs in an elderly population associated with an increased risk of hip fracture, after adjustment for multimorbidity level: a cohort study.」
PMID: 25475854
 

PECO

P : 75歳以上の患者(スウェーデン、38047人)

: FRIDs服用あり

C : FRIDs服用なし

: 股関節骨折

 

チェック項目

・研究デザイン : コホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・調整されている交絡因子は? : 年齢・性別・併存疾患について調整されている

・集団の代表性は? : 一般診療のデータベースが使用されており、大きな問題はないと思われる

 

結果

[循環器系薬]

・血管拡張薬→調整オッズ比0.89(95%信頼区間0.74~1.06)

・降圧薬→調整オッズ比1.26(95%信頼区間0.46~3.42)

・利尿薬→調整オッズ比0.97(95%信頼区間0.84~1.12)

・β遮断薬→調整オッズ比0.92(95%信頼区間0.80~1.07)

・Ca拮抗薬→調整オッズ比0.83(95%信頼区間0.69~1.00)

・レニンーアンギオテンシン系阻害薬→調整オッズ比0.93(95%信頼区間0.79~1.09)

 

[精神系薬]

・オピオイド→調整オッズ比1.56(95%信頼区間1.34~1.82)

・ドパミン作用薬→調整オッズ比1.78(95%信頼区間1.24~2.55)

・リチウムを除いた抗精神病薬→調整オッズ比1.31(95%信頼区間0.98~1.75)

・抗不安薬→調整オッズ比1.31(95%信頼区間1.11~1.54)

・催眠薬及び鎮静薬→調整オッズ比1.31(95%信頼区間1.13~1.52)

・抗うつ薬→調整オッズ比1.66(95%信頼区間1.42~1.95)

 

感想

降圧薬では股関節骨折との関連は見られていないが、継続して服用している場合と新規で開始する場合では転倒リスクも違うため注意が必要。