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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ガイドラインラインで推奨されている薬を飲む事で長生きできますか?

「Association between guideline recommended drugs and death in older adults with multiple chronic conditions: population based cohort study」
BMJ 2015;351:h4984
 

PECO

P : 心房細・冠動脈疾患・CKD・うつ病・糖尿病・心不全・脂質異常症・高血圧・血栓塞栓症のうち2つ以上を有する65歳以上の患者(米国、8678人)
E : それぞれの疾患に米国のガイドラインで推奨されている薬を服用している
C : 薬を服用していない
O : 3年間の追跡での総死亡
 

チェック項目

・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・調整された交絡因子は? : 年齢・性別・人種・民族・年収・入院した日数・生活している場所・BMI・喫煙・聴覚や視覚の障害・薬の数・介助の機器・尿失禁・処方薬・認知症害・身体機能・慢性疾患の状態
・対象の代表性は? : 医療保険のデータが使用されており、大きな問題はないと思われる
 

結果

※アウトカムは疾患に対して処方されている場合の総死亡
 
①β遮断薬
・心房細動→調整ハザード比0.59(95%信頼区間0.48~0.72)
・冠動脈疾患→調整ハザード比0.70(95%信頼区間0.59~0.83)
・心不全→調整ハザード比0.68(95%信頼区間0.57~0.81)
・高血圧→調整ハザード比0.77(95%信頼区間0.68~0.88)
 
②スタチン
・冠動脈疾患→調整ハザード比0.75(95%信頼区間0.62~0.90)
・糖尿病→調整ハザード比0.75(95%信頼区間0.62~0.92)
・脂質異常症→調整ハザード比0.68(95%信頼区間0.58~0.80)
 
③Ca拮抗薬
・心房細動→調整ハザード比0.78(95%信頼区間0.64~0.96)
・高血圧→調整ハザード比0.85(95%信頼区間0.75~0.97)
 
④チアジド
・高血圧→調整ハザード比0.93(95%信頼区間0.82~1.05)
 
⑤RAS阻害薬
・冠動脈疾患→調整ハザード比0.82(95%信頼区間0.70~0.97)
・糖尿病→調整ハザード比0.87(95%信頼区間0.73~1.04)
・心不全→調整ハザード比0.72(95%信頼区間0.61~0.84)
・高血圧→調整ハザード比0.80(95%信頼区間0.71~0.90)
 
⑥クロピドグレル
・心房細動→調整ハザード比1.26(95%信頼区間0.94~1.67)
・冠動脈疾患→調整ハザード比0.97(95%信頼区間0.76~1.16)
 
⑦SSRI/SNRI
・うつ病→調整ハザード比0.95(95%信頼区間0.79~1.15)
 
⑧メトホルミン
・糖尿病→調整ハザード比0.85(95%信頼区間0.68~1.05)
 
⑨ワルファリン
・心房細動→調整ハザード比0.69(95%信頼区間0.56~0.85)
・血栓塞栓症→調整ハザード比0.44(95%信頼区間0.30~0.62)
 

感想

なかなか面白い研究ですね。
2つ以上の慢性疾患を有している高齢者ではガイドラインで推奨されている薬を服用することによって死亡を先延ばしにできる事が示唆されている薬剤がいくつかありますが、ガイドラインで推奨されている薬を服用しても死亡に差がみられない薬もある点について考えさせられます。日本と米国ではガイドラインの質にも差があるでしょうし。
 
ガイドラインを鵜呑みにするのではなく、まずは自分で「ガイドラインの批判的吟味」を行う事が必要なんでしょうね。