【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

血糖降下療法の種類によって心不全発症リスクに差はあるのか?

以前に引き続き、今回も血糖降下薬の心不全発症リスクに関する論文を。

 
前の記事はこちら。

 

screamtheyellow.hatenablog.com

 

「Glucose-lowering drugs or strategies and cardiovascular outcomes in patients with or at risk for type 2 diabetes: a meta-analysis of randomised controlled trials.」

PMID: 25791290
 
P : 14試験に参加した95502人
E : 血糖降下薬又は治療戦略
C : 標準治療
O : 心不全の発症
 
今回は残念ながら抄録までしか読めませんが、RCTのメタ解析で平均追跡期間は4.2年、心不全の発症がみられたのは3907人(4%)と記載されています。
 
[結果]
①血糖降下薬
・チアゾリジン系薬群→リスク比1.42(95%信頼区間1.15~1.76)
・DPP-4阻害薬群→リスク比1.25(95%信頼区間1.08~1.45)
・インスリングラルギン群→リスク比0.90(95%信頼区間0.77~1.05)
 
②治療戦略
・強化血糖コントロール群→リスク比1.00(95%信頼区間0.88~1.13)
・強化体重減少群→リスク比0.80(95%信頼区間0.62~1.04)
 
[感想]
「標準治療」の内容が不明ではありますが、チアゾリジン・DPP-4阻害薬で心不全発症リスクの増加が示唆されるという、まあ予想通りの結果。体重減少への介入では有意な差がみられていないものの心不全発症リスクは低下する傾向にあり、標準治療と比較して血糖降下薬・治療戦略では体重が1.0kg増える毎に心不全発症リスクは7.1%(95%1.0~13.6、P=0.022)増加することが示唆されており、体重管理はやはり重要であると感じる。
 
SGLT-2阻害薬との比較なんかも見てみたいですね。