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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

シタグリプチン vs プラセボ ???

糖尿病・血糖降下薬
「Effect of Sitagliptin on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes」
PMID: 26052984

PECO

P : 50歳以上で心血管疾患(冠動脈疾患・虚血性脳疾患・アテローム性末梢動脈疾患)の既往があり、経口血糖降下薬又はインスリンによる治療を受けているHbA1cが6.5~8.0%の2型糖尿病患者(38ヶ国、14671人)
E : シタグリプチン100mg/日(eGFRが30~50mLの場合は50mg/日)(7332人)
C : プラセボ(7339人)
O : 心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・不安定狭心症による入院の複合心血管アウトカム

チェック項目

・研究デザイン : 非劣性試験
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 複合アウトカムのため注意
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : 二重盲検が行われている
・解析方法は? : per-protocol解析とITT解析が行われている
・追跡率 : 97.5%
・追跡期間中央値 : 3年
・患者背景 : 特に気になるような偏りは見られない、平均年齢65.5歳・女性29.3%・平均BMI30.2kg/㎡・平均HbA1c7.2%・平均糖尿病罹患期間11.6年
・サンプルサイズ : 1300人(検出力81%)

結果

①主要評価項目(非劣性マージンは1.30)
・per-protocol解析
シタグリプチン群(9.6%) vs プラセボ群(9.6%)→ハザード比0.98(95%信頼区間0.88–1.09)P<0.001

・intention-to-treat解析
シタグリプチン群(11.4%) vs プラセボ群(11.6%)→ハザード比0.98(95%信頼区間0.89–1.08)P=0.65

②副次評価項目(ITT解析)
・心血管死
シタグリプチン群(5.2%) vs プラセボ群(5.0%)→ハザード比1.03(95%信頼区間0.89–1.19)P=0.71

・狭心症による入院
シタグリプチン群(1.6%) vs プラセボ群(1.8%)→ハザード比0.90(95%信頼区間0.70–1.16)P=0.42

・致死性又は非致死性の心筋梗塞
シタグリプチン群(4.1%) vs プラセボ群(4.3%)→ハザード比0.95(95%信頼区間0.81–1.11)P=0.49

・致死性又は非致死性の脳卒中
シタグリプチン群(2.4%) vs プラセボ群(2.5%)→ハザード比0.97(95%信頼区間0.79–1.19)P=0.76

・総死亡
シタグリプチン群(7.5%) vs プラセボ群(7.3%)→ハザード比1.01(95%信頼区間0.90–1.14)P=0.88

・心不全による入院
シタグリプチン群(3.1%) vs プラセボ群(3.1%)→ハザード比1.00(95%信頼区間0.83–1.20)P=0.98

感想

2型糖尿病患者の標準治療に追加した場合、プラセボと比較してシタグリプチンは非劣性を示した。

プラセボと比較して少なくとも劣っていないですか…。

主要評価項目ではper-protocol解析の他にITT解析でも有意な差は見られず、副次評価項目でも複合アウトカムの各要素や総死亡についても有意な差が見られていないので、逆にこの結果を見る限りではシタグリプチンを追加する意義もあまりないように感じられます…。

以前他のDPP-4阻害薬で示唆されていた心不全による入院でも有意差は見られていないようです。
また、有意な差は見られていないものの急性膵炎では[ハザード比1.93(95%信頼区間0.96–3.88)]と増加する傾向にあるようです。

某二次媒体では「シタグリプチンの血管安全性に問題みられず」というタイトルでこの論文について触れられていますが、少なくとも既に2型糖尿病に対する薬物治療を行っている患者に積極的に追加していくことを支持するような結果ではないと思います。