【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

タムスロシン・ニフェジピンは尿管結石排出を促進する効果があるのか?

「Medical expulsive therapy in adults with ureteric colic: a multicentre, randomised, placebo-controlled trial.」

PMID: 25998582

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25998582


・研究デザイン : ランダム化比較試験


PECO

P : 英国の24病院において、尿管疝痛があり、CT検査で尿管に10mm以下の結石が確認された18~65歳の患者(1167人)
E : タムスロシン400μg/日(383人)又はニフェジピン30mg/日(383人)
C : プラセボ(384人)
O : 結石排出治療の介入が必要なく、4週後までに結石が自発的に排出されているか

チェック項目

・真のアウトカムか? : 痛みはかなり辛そうですからね…真のアウトカムだと考えます
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 行われている(結石の大きさが≦5mm又は>5mm、結石の位置が上部・中部・下部で調整されている)
・盲検化が行われているか? : 三重盲検が行われている
・ITT解析が行われているか? : 修正されたITT解析が行われている
・追跡率 : 98.8%
・追跡期間 : 4週間
・患者背景 : 平均年齢42.7歳、女性19.7%。痛みの持続期間の平均がタムスロシン群5.1日・ニフェジピン群3.3日・プラセボ群5.5日と偏りが見られる点がやや気になる。また、以前からのオピオイドの使用がタムスロシン群16%・ニフェジピン群17%・プラセボ群21%とプラセボ群でやや多め。
・サンプルサイズ : 1062人(片側354人、検出力90%)

結果

タムスロシン又はニフェジピン群 vs プラセボ→調整オッズ比1.06(95%信頼区間0.70~1.60)P=0.78、調整リスク差0.9%(95%信頼区間–5.1~6.8)

タムスロシン群 vs プラセボ群→調整オッズ比1.09(95%信頼区間0.67~1.78)P=0.73、調整リスク差1.3%(95%信頼区間–5.7~8.3)

ニフェジピン群 vs プラセボ群→調整オッズ比1.03(95%信頼区間0.68~1.56)P=0.88、調整リスク差0.5%(95%信頼区間–5.6~6.5)

タムスロシン群 vs ニフェジピン群→調整オッズ比1.06(95%信頼区間0.73~1.53)P=0.77、調整リスク差0.8%(95%信頼区間–4.5 ~6.1)

性別・結石の大きさ・結石の位置でサブグループ解析が行われているが全て有意差がみられない

副次評価項目である痛みの変化・結石排出までの時間も有意な差がみられない。

感想

尿管平滑筋を弛緩させるということで尿管結石のある患者に用いられることのあるタムスロシン・ニフェジピンだが、結石の排出に対して有意な差はみられなかった。患者背景に若干偏りが見られる点が気になるが、理論と実践にはやはり相違があるということなのでしょうかね。