【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

どうしても納豆が食べたい患者ではNOACに変更しても良いのだろうか?

これまでNOACの非劣性試験4つを読んできたので、今回はその4試験を対象にしたメタ分析を。
 

「Comparison of the efficacy and safety of new oral anticoagulants with warfarin in patients with atrial fibrillation: a meta-analysis of randomised trials.」

PMID: 24315724
 
 
・研究デザイン : NOACの非劣性試験(RE-LY・ROCKET AF・ARISTOTLE・ENGAGE AF–TIMI 48)を対象にしたメタ分析


PECO

P : 4つの非劣性試験に参加した心房細動を有する患者71683人(平均年齢71.6歳)
E : NOAC(ダビガトラン・リバーロキサバン・アピキサバン・エドキサバン)を服用(42411人)
C : ワルファリンを服用(29272人)
O : 脳卒中又は全身性塞栓症・虚血性脳卒中・出血性脳卒中・全死亡・脳梗塞・大出血・頭蓋内出血・消火管出血
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 複数設定されている
・評価者バイアス : 記載なし
・出版バイアス : 記載なし
・異質性バイアス : 異質性検定が行われている
・元論文バイアス : 全てランダム化比較試験でITT解析が行われている
・資金源 : 「There was no funding source for this study. All authors had full access to all the data in the study and had fi nal responsibility for the decision to submit for publication.」の記載あり。
・追跡期間中央値の範囲 : 1.8〜2.8年
 

 

結果

・脳卒中又は全身性塞栓症
NOAC(3.1%) vs ワルファリン(3.8%)→相対リスク0.81(95%信頼区間0.73–0.91)P<0.0001、NNT=143、異質性 : I²=47%・P=0.13
 
・虚血性脳卒中
NOAC(2.3%) vs ワルファリン(2.5%)→相対リスク0.92(95%信頼区間0.83–1.02)P=0.10、NNT=500、異質性 : I²=32%・P=0.22
 
・出血性脳卒中
NOAC(0.4%) vs ワルファリン(0.9%)→相対リスク0.49(95%信頼区間0.38–0.64)P<0.0001、NNT=200、異質性 : I²=34%・P=0.21
 
・心筋梗塞
NOAC(1.4%) vs ワルファリン(1.5%)→相対リスク0.97(95%信頼区間0.78–1.20)P=0.77、NNT=1000、異質性 :  I²=48%・P=0.13
 
・全死亡
NOAC(6.9%) vs ワルファリン(7.7%)→相対リスク0.90(95%信頼区間0.85–0.95)P=0.0003、NNT=125人、異質性 : I²=0%・P=0.81
 
・大出血
NOAC(5.3%) vs ワルファリン(6.7%)→相対リスク0.86(95%信頼区間0.73–1.00)P=0.06、ワルファリンNNH=73、異質性 : I²=83%・P=0.001
 
・頭蓋内出血
NOAC(0.7%) vs ワルファリン(1.5%)→相対リスク0.48(95%信頼区間0.39–0.59)P=0.0001、ワルファリンNNH=125、異質性 : I²=32%・P=0.22
 
・消火管出血
NOAC(2.6%) vs ワルファリン(2.0%)→相対リスク1.25(95%信頼区間1.01–1.55)P=0.043、NOACNNH=167、異質性 : I²=74%、P=0.009
 
NOAC低用量では虚血性脳卒中・心筋梗塞でリスクを有意に上昇させており、全死亡・大出血では有意に減少させている。
 

感想

一次アウトカムが複数設定されているため注意が必要だが、サブグループ解析も含めて概ねNOACの方が良さそうな印象。
 
消火管出血においてはNOACの方が有意にリスクを上昇させているが、異質性が高いためこちらも注意が必要。
 
大出血では異質性が高く有意な差は見られていないが、アピキサバン・エドキサバンでは有意にリスクを減少させている。
 
結論としてはどうしても納豆が食べたい患者さん等の場合はNOACに変更しても良さそうだと感じる。
 
NOACの中ではアピキサバンが有効性・安全性ともに有利な印象であるが、「少なくとも劣っていない」事が示された非劣性試験を統合したメタ分析のため、やはりこの結果もワルファリンと比較してNOACは少なくとも劣っていなさそうだと考えるのが妥当なのかしら?