【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

SU薬 vs メトホルミン 2回戦目

前回の論文に続き

 

 

今回は少し古めの論文を

 

 

「Risk of cardiovascular disease and all cause mortality among patients with type 2 diabetes prescribed oral antidiabetes drugs: retrospective cohort study using UK general practice research database」

PMID: 19959591
 
 
・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究
 

PECO

P : 2型糖尿病と診断された35〜90歳の患者91521人(英国)
E : 第一世代SU薬(アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド、トラザミド)・第二世代SU薬(グリピジド、グリキドン、グリメピリド、グリベンクラミド、グリクラジド)・ロシグリタゾン・ピオグリタゾン・その他の経口糖尿病治療薬の単剤または併用
C : メトホルミン単剤
O : 心筋梗塞・うっ血性心不全・総死亡
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・調整された交絡因子 : 性別・糖尿病の罹患期間・年齢・末梢動脈疾患の既往・心血管疾患の既往・心不全の既往・使用薬剤(アスピリン・スタチン又はフィブラート・利尿剤・Ca拮抗薬・スピロノラクトン・β遮断薬・ACE阻害薬又はARB・硝酸薬・ステロイド・NSAIDs・ジゴキシン)・糖尿病合併症の既往・コレステロール値・BMI・HbA1c・クレアチニン値・アルブミン値・収縮期血圧・喫煙
・追跡期間 : 平均7.1年
・平均年齢(SD) : 65.0(11.9)
 

結果

①心筋梗塞
全て有意差なし
 
②うっ血性心不全
・第二世代SU薬のみ有意差あり→ハザード比1.18(95%収縮期血圧1.04-1.34)、P=0.012
 
②総死亡
・第一世代SU薬→ハザード比1.37(95%信頼区間1.11-1.71)、P=0.0003
・第二世代SU薬→ハザード比1.24(95%信頼区間1.14-1.35)、P<0.001
・ロシグリタゾン→ハザード比1.07(95%信頼区間0.77-1.49)、P=0.740
・ロシグリタゾン併用→ハザード比0.88(95%信頼区間0.71-1.09)、P=0.070
・ピオグリタゾン単独又は併用→ハザード比0.69(95%信頼区間0.49-0.98)、P=0.024
・その他の薬剤→ハザード比0.99(95%信頼区間0.89-1.11)、P=0.927
 

結果

調整後の心筋梗塞では有意差はなかったものの、こちらでもSU薬はメトホルミンと比較して心血管イベントと死亡リスクが高くなる事が示唆されている。
ただ、やはり観察研究なので交絡の可能性はあり、調整された因子に飲酒や経済状況や教育に関するものが含まれていない点が少し気になります。