【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

肥満の2型糖尿病患者に対して生活への介入を行うと死亡リスクは減らせるのか?

「Cardiovascular Effects of Intensive Lifestyle Intervention in Type 2 Diabetes」

PMID: 23796131 
 
 
・研究デザイン : ランダム化比較試験
 

PECO

P : 45~75歳で心血管疾患の既往のないBMI25以上の糖尿病患者(米国、5154人、HbA1c11%未満・血圧160/100mmHg未満・TG600mg/dL未満)
E : 体重7%減少を目標にカロリー制限や身体活動による生活介入を行う(2757人)
C : 糖尿病のサポート・教育を行う(2570人)
O : 心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・狭心症による入院の複合エンドポイント
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・盲検化されているか? : されていない
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : 96%
・追跡期間中央値 : 9.6年
・患者背景 : 特に気になるような偏りは見られない
 

結果

体重減少の平均は生活介入群6.0%・対照群3.5%
 
・心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・狭心症による入院の複合エンドポイント
生活介入群403人(100人年当たり1.83人) vs 対照群418人(100人年当たり1.92年)→ハザード比0.95(95%信頼区間0.83–1.09)、P=0.51
 

感想

心血管疾患の有意な減少は見られず、この結果を見る限りでは生活介入による体重の減少は意義のあるものではないように感じる。
ただ、患者背景を見るとBMIが生活介入群では平均36.0±5.8、対照群では平均35.9±6.0と日本人から見るとかなり高めのため(体重は100kgを超えている)、肥満度が違えば結果も変わってくる可能性もあるのかもしれない。