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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

抗精神病薬で心筋梗塞のリスクは増大するか?

「Antipsychotic drugs and risks of myocardial infarction: a self-controlled case series study」

PMID: 25005706
 
 
・研究デザイン : 自己対照ケースシリーズ研究
 

PECO

P : 18歳以上の患者(2625818人)
E : 抗精神病薬の使用あり(1546人)
C : 抗精神病薬の使用なし
O : 心筋梗塞の発症
 
 
自己対照ケースシリーズ研究ですか。初耳ですね。
どうやらコホート研究の一種で、自己対照という名の通り
同一の患者の観察期間以外の時期をコントロールとして使用するという疫学手法のようです。
この研究では抗精神病の服用中又は服用終了後6ヶ月までを観察期間、それ以外の期間を対照期間として比較して心筋梗塞の発症リスクと関連しているかを検証するというような感じでしょうかね。
 
自己対照ケースシリーズ研究では、対照群の背景因子の偏りを減少させることができ、時間の経過によって変化しない個々の特徴のような交絡因子の影響を排除できるるため,年齢補正がきちんとなされるかぎり信頼性が高いものだと言われているようです。
 
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・年齢による調整が行われているか? : 行われている
・年齢(SD) : 70.24(13.03)
・観察期間中央値 : 11年
・平均暴露期間 : 3ヶ月
 

結果

①第一世代(ピモジド・ブチロフェノン・フェノチアジン・スルピリド)
・投与開始後30日間 : 暴露群(37.2%) vs 非暴露群(8.7%)→年齢調整後罹患率比2.82(95%信頼区間2.0-3.99)
 
・再投与後30日間 : 暴露群(17.5%) vs 非暴露群(8.7%)→年齢調整後罹患率比1.95(95%信頼区間1.19-3.21)
 
②第二世代(アミスルプリド・クロザピン・オランザピン・クエチアピン・リスペリドン)
・投与開始後30日間 : 暴露群(42.1%) vs 非暴露群(8.7%)→年齢調整後罹患率2.5(95%信頼区間1.18-5.32)
 
・再投与後30日間 : na
 
第一世代では投与開始後120日間までリスクが有意に増大していたが、第二世代では30日以降ではリスクが増大していない。
 

感想

抗精神病薬の投与は心筋梗塞のリスクを、特に30日以内に増大させることが示唆された。
Discussionにも書いてあることですが、ベネフィットが確立されていない認知症への適応外の使用等は控えるべきではないかと感じます。