【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

高齢者での ACE阻害薬 vs 利尿剤

「A Comparison of Outcomes with Angiotensin-Converting–Enzyme Inhibitors and Diuretics for Hypertension in the Elderly」

PMID: 12584366
 
 

PECO

P : 平均の収縮期血圧が160mmHg以上又は平均の拡張期血圧が90mmHg以上で6ヶ月以内の心血管イベントの発症がない64~85歳以上の患者(オーストラリア人、6083人)
E : ACE阻害薬(エナラプリルで投与開始を推奨)
C : 利尿薬(ヒドロクロロチアジドで投与開始を推奨)
O : 全心血管イベント又は全死亡
 
※治療目標は収縮期血圧を20mmHg以上低下させ160mmHg以下にする又は拡張期血圧を10mmHg以上低下させ90mmHg以下にする。
治療目標達成のため、β遮断薬・Ca拮抗薬・α遮断薬の追加が推奨されている。
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化されているか? : されている
・盲検化されているか? : PROBEが行われている
・ITT解析されているか? : されている
・追跡率 : 97.3%
・追跡期間 : 中央値4.1年
・患者背景 : 特に気になるような偏りは見られない
 

結果

降圧効果は両群で同等で26/12mmHg
 
ACE阻害薬群56.1人/1000人年 vs 利尿薬群59.8人→ハザード比0.89(95%信頼区間0.79–1.00)p=0.05
 

感想

高齢の高血圧患者では利尿薬と比べてACE阻害薬は降圧効果は同等でも、全心血管イベント又は全死亡のリスクを有意に下げた。
このまま日本人に適応できるかどうかは難しいかもしれない。