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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

エドキサバン vs ワルファリン!!

心房細動・抗凝固薬
「Edoxaban versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation」
PMID: 24251359


・研究デザイン : 非劣性試験

ということで、今回初めて非劣性試験の論文を読んでみたいと思います。
非劣性試験というのは読んで字の如く、Aという薬の有効性・安全性がBという薬と比較して劣っていないという事を示すための研究ですが、この試験の場合はエドキサバンはワルファリンと比べて食物の制限・他剤との併用・頻回の検査等の点で利点があるので、心房細動に対するエビデンスが先に確立しているワルファリンと比較して劣っていなければ新薬として有用と考えるというような感じでしょうかね。

ではPECOを、
P : CHADS2スコアが2点以上で12ヶ月以内に心房細動が確認された21歳以上の患者(21105人)
E : エドキサバン60mg/day又は30mg/dayを投与
C : ワルファリンをPT-INRが2.0~3.0となるよう用量を調整して投与
O : 安全性→大出血、有効性→脳卒中・全身性塞栓症の複合エンドポイント

ワルファリンの有害事象である大出血の発生と治療目的である脳卒中・全身性塞栓症の発生に差がなければ「エドキサバンはワルファリンと比較して劣る」という帰無仮説が棄却され、エドキサバンはワルファリンと比較して劣っていない事が示されるとするということのようです。

さて、ぶっちゃけ非劣性試験の吟味の仕方がわからないんですが無作為化されている試験なので、適切かはわかりませんがひとまずランダム化比較試験と同じようにチェックしてみたいと思います。

・真のアウトか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確

アウトカムが「検査値」等の非劣性試験なんかもあるんでしょうかね?あと、優越性を検討する試験とは違いアウトカムが沢山設定されているほど非劣性試験では不利に働くような気がします。

続きまして、
・ランダム化されているか? : されている
・盲検化されているか? : 二重盲検・ダブルダミーがおこなわれている
・解析方法は? : modified intention-to-treat解析

こちらも優越性を検討した試験とは違い、「差がないこと」を検討する非劣性試験ではITT解析により差が薄まることが有利に働いてしまうため、ITT解析とper protocol解析を同時に行うことが望ましく、両方の解析で同じ結論がでれば結果の信頼性は高くなるとされるようですが、今回は修正したITT解析が行われているようです。

更に続きまして、
・結果を覆すほどの脱落者はいるか? : 追跡率は99.5%のため問題ない
・追跡期間 : 中央値2.8年
・患者背景 : 特に気になるような偏りはみられない

こんなところでしょうか。

それでは結果を見ていきたいんですが、非劣性試験の場合は差がないことを示すために対照薬よりも劣る幅として臨床的に許容される最大のレベルとされる「非劣性マージン」が設定されます。簡単に言うと、多少差があったとして、良くても悪くてもこのくらいであれば許容できると考えられる範囲を設定する訳です。
この試験では非劣性マージンが「1.38」と設定されており、95%信頼区間の上限がこの値を上回らければ非劣性であることが示されることになります。

では安全性のエンドポイントである大出血から。

・エドキサバン60mg/day群2.75% vs ワルファリン群3.43%→ハザード比0.80 (95%信頼区間0.71–0.91、P<0.001) : 非劣性あり

・エドキサバン30mg/day群1.61% vs ワルファリン3.43%→ハザード比0.47 (95%信頼区間0.41–0.55、P<0.001) : 非劣性あり

どちらの用量も非劣性であることが示されました。
その他、一次エンドポイントではありませんが死亡等のアウトカムも非劣性ありですが、胃出血だけは非劣性がない結果になっているようです。

次に有効性のエンドポイントですが、有効性の方では95%信頼区間ではなく有意差が出やすい方向に向かう97.5%信頼区間が用いられおり、より厳しい評価がされています。

・エドキサバン60mg/day群1.18% vs ワルファリン群1.50%→ハザード比0.79(97.5%信頼区間0.63-0.99、P<0.001) : 非劣性あり

・エドキサバン30mg/day群1.61% vs ワルファリン群1.50%→ハザード比1.07(97.5%信頼区間0.87-1.81、P=0.005) : 非劣性あり

有効性のエンドポイントでも非劣性であることが示されましたが、脳卒中・全身性塞栓症を別々に見ていくと脳卒中ではどちらの用量も非劣性ありですが、全身性塞栓症では30mg/day群は非劣性がないという結果になっているようです。

ということで、とりあえず結果としてはエドキサバンはワルファリンと比較して劣っていないことが示されたわけですが、脳卒中・全身性塞栓抜症・大出血は割りと重大なアウトカムだと思うのですが38%までリスクの増大を許容するっていうのはどうなんでしょうかね?
また、国際共同で行われた試験のようなので(アジア人は16%)、そのまま日本人に当てはまるかは疑問が残ります。今後アジア人でのサブ解析とかされたりするのかしら?

それから、エドキサバンには確かに利点はありますが、ワーファリンと比較してかなり高価だという点も考えなければいけませんね。

いずれにしろ非劣性試験についてはまだ理解が不十分だとは思いますが、JJCLIPの抄読会で非劣性試験について取り上げられるようなのでそちらの配信を楽しみに待ちたいと思います。