【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

DPP-4阻害薬と心不全?

http://circ.ahajournals.org/content/early/2014/09/04/CIRCULATIONAHA.114.010389.short

 

「Heart Failure, Saxagliptin and Diabetes Mellitus: Observations from the SAVOR - TIMI 53 Randomized Trial 」

 

・研究デザイン : RCT

 

チェック項目

PECO

P : 2型糖尿病(HbA1c6.5%~12%)で心血管疾患の既往がある又は心血管疾患の危険因子が複数個ある患者

E : サキサグリプチン5mg/日(eGFR50mL/minの場合は2.5mg/日)

C : プラセボ

O : 心血管死・心筋梗塞・虚血性脳卒中

 

・追跡期間 : 2.1年

 

・真のアウトカムか? : 真のアウトカムと言える

 

・一次アウトカムは明確か? : 明確と言える

 

・ランダム化されているか? : されている

 

・盲検化されているか? : 二重盲検が行われている

 

・ITT解析されているか? : されている

 

・結果を覆す程の脱落者はいるか? : 脱落者は3%程度なので問題ないと思われる

 

結果

結果なんですが、主要評価項目の記載が見当たらない…
その代わり副次評価項目の心不全による入院に関してはどっさり書いてあるのでとりあえず、
ハザード比1.27、95%信頼区間1.07~1.51、P=0.007で有意差あり
また、心不全の既往あり・eGFR60mL/min・75歳以上等でリスクが増大しているようです。
 

感想

研究で実証できるのは主要評価項目だけで、副次評価項目は示唆に留まるとのことなので2型糖尿病患者で心血管疾患の既往があるか危険因子を複数個持っている場合は心不全による入院のリスクが増大することが示唆された訳ですが、何で主要評価項目の記載がなかったんだろう?有意差がなかったからか、見付けられなかっただけなのか…なんだか釈然としませんが、ひとまず心不全の既往があったり腎機能が低下している患者には注意が必要かと思います。


補足
JJCLIPの青島先生からご指摘を頂きまして、こちらは元々SAVORという試験で(ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23992601)主要評価項目である心血管疾患・心筋梗塞・虚血性脳卒中に有意な差は見られなかったが、心不全による入院では差が見られたためサブ解析が行われたものということでした。いやはや、勉強不足ですいません。