【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

非ST上昇型の急性冠症候群に対するチエノピリジン系抗血小板薬の前投与は有効か?

「Reappraisal of thienopyridine pretreatment in patients with non-ST elevation acute coronary syndrome: a systematic review and meta-analysis」
 

http://www.bmj.com/content/349/bmj.g6269

 
メタ解析
 
・PECO
P : 非ST上昇型急性冠症候群(不安定狭心症・非ST上昇型心筋梗塞)の患者 
E : チエノピリジン系抗血小板薬(クロピドグレル・プラスグレル)の前投与を行った場合
C : 前投与を行わなかった場合と比べて
O : 死亡リスク及び大出血リスクはどうなるか?
 
・一次アウトカムは明確か? : 明確
 
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
 
評価者バイアス  : 「Two reviewers independently searched 」の記載有り
 
・出版バイアス : 記載なし
 
元論文バイアス : RCTと観察研究のバイアスのリスク評価はされている
 
・異質性バイアス : ブロボグラムの方向性は視覚的に一致していないようにみえる、異質性検定もされているが有意である
 →異質性バイアスはあるかも
 
・結果
1.死亡 : 前投与あり vs 前投与なし→オッズ比0.90、95%信頼区間0.75-1.07、P=0.24 有意差なし
(冠動脈造影後にPCIを受けた患者に限定→オッズ比0.83、095%信頼区間0.59-1.17、P=0.38 有意差なし)
 
2.大出血 : 前投与あり vs 前投与なし→オッズ比1.32、95%信頼区間1.16-1.49、P<0.0001 有意差あり)
(PCIに限定→オッズ比1.23、95%信頼区間1.00-1.50、P=0.048 有意差あり)
 
・感想
死亡リスクは低下させずに、大出血リスクは増加させることが示されたが、計算が間違っていなければ死亡に対するNNTは97人で大出血に対するNNHは209人なので必ずしも臨床的に意義がないとは言いきれないかもしれない。