【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

何時間くらい寝れば長生きできますか?

【私的背景】

今回は、薬と音楽の第二弾にしたかったんですが、時間が取れないので、とりあえず気になった論文を読んでいきたいと思います。

 

 

「Relationship of Sleep Duration With All‐Cause Mortality and Cardiovascular Events: A Systematic Review and Dose‐Response Meta‐Analysis of Prospective Cohort Studies

https://doi.org/10.1161/JAHA.117.005947
Journal of the American Heart Association. 2017;6:e005947
Originally published September 9, 2017

 

PECO

: 67研究に登録された3582016例

: 睡眠時間 <7時間/日(短時間)または  >7時間/日(長時間)

: 睡眠時間 ₌7時間

: 総死亡、全ての心血管疾患、冠動脈疾患、脳卒中

 

チェック項目

・研究デザイン : 観察研究のシステマティックレビュー&メタ解析

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 4つなので明確とする

・評価者バイアス : 「Two investigators (J.W.Y. and S.Z.L.) independently screened all studies by title or abstract and then by a full-text evaluation. 」と記載されている。

・出版バイアス : funnel plotを用いて検討されており、視覚的には対称。

・元論文バイアス : Newcastle–Ottawa Quality Assessment Scaleを用いて評価されており、概ね7/9点以上のため大きな問題はないと思われる。

・異質性バイアス : フォレストプロットは視覚的に方向性は一致していないように見える。

・追跡期間の範囲 : 2.3~34年間

 

結果

【総死亡】

・短時間→相対リスク 1.13(95%信頼区間 1.10~1.17)P<0.01、I²=37.5%

・長時間→相対リスク 1.35(95%信頼区間 1.29~1.41)P<0.01、I²=76.2%

【全ての心血管疾患】

・短時間→相対リスク 1.14(95%信頼区間 1.09~1.20)P=0.04、I²=31.3%

・長時間→相対リスク 1.36(95%信頼区間 1.26~1.48)P<0.01、I²=71.2%

【冠動脈疾患】

・短時間→相対リスク 1.22(95%信頼区間 1.13~1.31)P=0.02、I²=39.6%

・長時間→相対リスク 1.21(95%信頼区間 1.12~1.30)P=0.03、I²=37.4%

脳卒中

・短時間→相対リスク 1.09(95%信頼区間 0.99~1.19)P=0.03、I²=40.6%

・長時間→相対リスク 1.45(95%信頼区間 1.30~1.62)P<0.01、I²=63.5%

 

感想

睡眠時間が7時間である群と比較して、それ以上でもそれ以下でも各アウトカムのリスクを増加させることが示唆されております。

睡眠時間は7時間がベストであるという結果ですが、観察研究のメタ解析であり、睡眠時間そのものというよりは、十分な睡眠時間が取れないような状況や、睡眠時間が長くなってしまう状況などの交絡の影響は大きいようにも思います。

個人的には7時間くらいの睡眠が体調的にもベストかなとは思いますが。

まあこの研究から、7時間寝なければいけないんだと考える必要はないように思いますが、しかし、このブログを見ていただいている方は今日くらいは早く寝てください。

薬としての音楽とは?①

【私的背景】

超絶人気ブロガーである、るるーちゅ先生からMedscapeの記事のまとめを振られたんですが、全文訳すのは骨が折れるので、今回は気になった項目を紹介していきたいと思います。

 

元記事→ http://www.medscape.com/slideshow/music-as-medicine-6009039

 

記事のタイトルは「Music as Medicine」ということで、まあ音楽の効果についての記事のようです。

それでは行ってみましょう。

 

『音楽が血圧を下げる』

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を30分間聴くことで、収縮期/拡張期血圧を有意に低下させたとする研究があるようです。(元の論文は見つからず)

メタ解析でも、音楽が血圧を低下させることが示唆されております。

Effects of music on systolic blood pressure, diastolic blood pressure, and heart rate: a meta-analysis. - PubMed - NCBI

Systematic review and meta-analysis of music interventions in hypertension treatment: a quest for answers. - PubMed - NCBI

 

その他にも、音楽と血圧低下について検討されている研究は割と多くあるようですが、そのほとんどはクラシック音楽について検討されているようです。

間違っても、頭をガンガン振るようなメタルではいけません、逆効果です。

 

 

『音楽が認知症患者の興奮を改善』

高齢者施設に入居している認知症患者を対象としたランダム化比較試験において、音楽療法が興奮症状を改善させることが示されております。

Individual music therapy for agitation in dementia: an exploratory randomized controlled trial

 

他にもBPSDに対する音楽の効果が検討されている研究がいくつかあるようなので、探して読んでみると案外役に立つかもしれません。

本試験では、音楽療法についてトレーニングを受けている臨床医が介入を行っているようですが、対象患者はさぞかし心が安らぐような音楽を提供されたのではないかと思います。

やはり間違ってもメタルではいけません、間違いなく興奮を増長させます。逆効果です。

 

 

『音楽が不眠を改善させる』

高齢者を対象としたある研究では、3ヶ月以上毎晩ゆっくりとした落ち着いた音楽を聴くことで睡眠の状態を改善させ、日中の機能も改善させることが示されているようです。(元論文については見つからず)

 

その他にも、音楽が睡眠の質を改善させることが示されてるメタ解析をいくつか見つけました。

Music-assisted relaxation to improve sleep quality: meta-analysis. - PubMed - NCBI

Music for insomnia in adults. - PubMed - NCBI

 

この辺りも詳しく調べてみれば、不眠に悩んでいる患者や、眠剤を続けることに不安を抱えている患者などでは、非常に役に立つかもしれません。

しかし、しつこいようですが、やはりメタルではいけません。余計に寝られなくなります。逆効果です。

 

ということで、なんとなく高齢者こそ音楽が必要であるような印象を受けました。

また次回に続きたいと思います。